新豊橋 ⇒ 定山渓自然の村
雪原にスノーシューを踏みだした私だったが、豊平川の上流は私の想像を超える険しさだった。奥に踏み入るごとに、そのV字谷は深く切れ込み、川辺へ近づこうとする私をせせら笑うかのように遠ざけるのだった…。
前回(1月5日)の遅出を反省した私は、今回7時30分に自宅を出発した。およそ1時間かかり定山渓市街地の外れ(中山峠側)の駐車帯に着いた。
準備、用便を済ませ、スノーシューを着けずに「新豊橋」脇まで移動し、そこでスノーシューを着けて8時55分、雪原に踏み出した。2日前に来たときのスノーシューの跡がわずかに認められるが、その後も雪が降り続いていたことを示していた。
スノーシューを踏みだすと、軽く30cmくらいは埋まりながら進まねばならなかった。
※ 定山渓市街地の西はずれにある駐車帯です。トイレ、休憩室完備です。
※ 遠くに「新豊橋」の表示が見えます。手前に私が2日前に歩いたスノーシューの跡が薄く見えます。
新豊橋の辺りは川辺に近づくことができないため、崖になった上部を移動していった。スタートから15分後、豊平川にかかる橋が見えた。この橋は地図上でも確認できる橋で、たまたま近くに住民がいたので、橋の名を聞くと「豊橋」だと教えてくれた。
ということは橋としては小さくとも「新豊橋」の兄貴分ということなのだろうか?
※ トレッキングの始まりに、こんな斜面を転げ落ちる洗礼を受けました。
※ 「新豊橋」からそう遠く離れていないところに「豊橋」がありました。
「豊橋」を超えてしばらくは豊平川へ鋭く切れ込んだ崖の上を歩いた。しかし、私は川辺を歩くことを今回のコンセプトとしている。どこか川辺に下りるところはないかと探しながらのスノーシュートレッキングが続いた。
すると、一ヵ所だけ川辺へ通じるような下り口が現れた。私は迷わずそちらへ歩を進めた。
川辺に下りた私に姿を見せた豊平川は静かに佇んでいるようだった。上流に来たという証しだろうか?川中に大きな石がゴロンゴロンと転がっていて、そこに雪が積もっている。
そんな静かな豊平川沿いを上流に向けて歩を進めたが、間もなく私の前進を阻むように水面が現れた。状況を良く観察してみると、どうやら小さな流れが豊平川に注いでいて、そこを乗り越えていくのは危険だと感じられた。
私は地図上で確認したときは、一ヵ所だけ豊平川に注ぐ流れがあるので、そこは迂回しなければと思っていたが、どうやら豊平川にはそれ以外にも小さな流れはいくつも存在しているようだった。
※ 川辺まで下りると、写真のような素晴らしい光景が広がっていました。
※ でも少し進むと、このようにどこに落とし穴があるか分からない危険な状況になってきました。
前進を阻まれた私は崖の上部に避難しなければならない。しかし、崖が急なため避難できそうなところが簡単には見つからないのだ。あちこちと探すうちに一ヵ所だけ何とかなりそうなところを見つけた。しかし、雪が深いためにストックの助けだけではずり落ちてしまい、もんどりうって雪の中に転がった。
窮地を脱してくれたのは、崖のような斜面にもけなげに生えている小さな木だった。私は小枝にもたれかかりながら、一歩一歩上がり続けた。高低差20mもあったろうか、私はようやくのことで崖上に出ることができた。
※ この斜面は私が上った斜面かどうか記憶がはっきりしないのですが同じような斜面をよじ登りました。
崖の上に出ることができた私は、「もうこんな苦労はしたくない」と思いながら、崖上から豊平川が望められるところを歩き続けた。途中、2ヵ所ほど豊平川に向って谷が大きく切れ込んでいるところがあり、そこは橋の架かっている道路まで迂回した。
※ 崖上に出た私のスノーシュートレッキングで進んだ跡です。
そうしたことを続けているうちに、先ほどの苦労を忘れたかのように「やはり川辺に出たい」という思いが私の中に芽生えてきた。
すると、またまた一ヵ所、川辺に下りられそうなところが目に入った。どうしようかな?と思いつつ、足はそちらを向いていた。
再び川辺まで下りることができた。しかし、今度は慎重に川辺から付かず離れずの距離をとりながら前へ進んだ。だからといって自然は許してはくれない。とうとうまた私は前進を阻まれた。
さあ、今度はどうしよう?と思案をしていたところ、崖の上から水が流れて雪が薄くなっているところがあった。足元が水に濡れる心配があったが、ひっかかりがあるので何とかなるのではと考えのだ。その読みは正解だった。実はその部分は何の動物か分からないが動物たちもその斜面を上っているようだった。
私は獣道を辿りながら、再度窮地を脱したのだった。
その際に気付いたのだが、その獣道を辿ったときに強烈な獣臭が漂っていたのだ。彼らは雪の上にも自らの臭いを残しながら移動するのだろうか?
※ 崖上の所々にこうしたテープがぶら下がっていました。遠くからはテープの先に何か説明が書か
れてあるものと、期待したのですが単にテープに雪が纏わり付いただけののでした。
二度の窮地に私は懲りた。それからはもう二度と川辺に下りようとは思わなかった。川は上流になるに従い、V字峡谷の様相をますます示し始めていたのだった。その深さは、私の恐怖心も加わってはいるが30~50mくらいはあったのではないか?
※ 崖上から豊平川の流れを覗いたところです。
私は深雪のラッセル、そして二度の崖登りの格闘でかなり疲労をおぼえるようになっていた。進むスピードががくんと落ちた。スピードは落ちても、この日は早い時間にスタートしたので、時間は気にならなかった。
崖の上の切り落ちているところには何の動物かは判然としないが、足跡がずーっと続いていて、私もその跡を辿るように歩を前へ進めた。
※ この跡は私のスノーシューの跡ではありせん。動物が通った跡です。(何でしょうね?)
すると、遠くから人の声が聞こえてきた。
行く先にある「定山渓自然の村」で学習している子どもたちの声だった。
※ 雪原の中に突如現れた自然の村の宿泊施設です。煙突からは煙が出ていた?
どうやら私はこの日の行程の中間地点となる「定山渓自然の村」の端の地点に到達したようだった。
時計を見ると11時40分、私は昼食休憩をとることにした。昼食と云っても立ったまま、ミニのカップラーメンに熱湯(ステンレスボトルにタオルを巻きつけ保温したもの)を注いだものである。
ここで私は温かいカップラーメンを頬張り、午後の行動に備えたのだった。
(後半の様子は明日レポートします)