謳い文句は「ネイチャードキュメンタリー」。野生に生きる生物たちと人間の共生を訴えながら、エンターテイメントにも耐えうる仕上がりとした映画と受け止めた。迫力ある野生動物たちが闘うシーンの連続が見ものである。
今年は年明け早々、試写会の当選が相次いだ。ここ数日、試写会行脚が続く。
その第一弾として今週末(15日)封切の「シーズンズ ~2万年の地球紀行」を今夜(13日)観てきた。
映画は地球上のさまざまな生物(オオカミ、野生馬、バイソン、等々)の生態を活写するシーンが連続するのだが、そのことに地球の最後の氷河期を終えてから現在までの2万年の営みを、ストーリー性を織り込みながら描いた作品である。
そのストーリー性とは、氷河期を耐え抜いた生物たちが、氷河期が明け野生生物たちが地球を謳歌していた時代から、やがて人間が森林を伐採して農地を開発し始めることによって、野生生物の生息地が次第に狭まっている。そうした現実に目を向け、人間も野生生物も同じ地球の住人の一人(一匹)であることを再確認し、共に生きていくことの大切さを訴えるストーリーとなっている。
見どころは、何といっても野生生物たちが闘うシーンの活写である。メスを巡る野生馬やヒグマ、バイソンたちのオス同士の闘い、野生馬の疾走シーン、オオカミたちがイノシシたちを追いかけるシーン、等々。
監督のジャック・ぺランが前々作「WATARIDORI」で開発したウルトラライトプレーンを駆使することによって、鳥たちと一緒に大空を遊泳するかのようなシーンはもちろん織り込まれているが、本作においては無音電動バギーなどさまざまな機器を開発し、オオカミや野生馬、イノシシたちが森林を疾走するシーンに肉薄し、共に大地を駆け巡るシーンが圧巻である。
※ 圧巻のオオカミたちの疾走シーンです。
ところで、本作において日本版ナレーションを笑福亭鶴瓶と木村文乃が担当している。木村はまあヨシとしても、特徴のある声の持ち主である鶴瓶の起用はどうだったのだろう?私は鶴瓶を別に嫌いということではないが、本作での起用には?(クエッション)を付けたいと思うのだが、どうなのだろうか?
さて、本作の主題について考えてみる。
近頃、「サスティナビリティ(sustainability)」という言葉がかなり一般化してきたことからも、地球にこれ以上の負荷はかけられない。あらゆる生物たちが生息可能な地球(生物多様化)にしていかねばならない、という空気が醸成されてきているよう思える。
しかし、一方ではCOP21に見られるように、後進国においてはこれまで地球に負荷をかけ続けてきたのは先進国諸国ではないか、との指摘もあって地球全体が足並みを揃えるにはまだまだ克服しなければならない問題も横たわっている。
だからこの映画が無意味だと云っているのではない。
こうした映画を通して、私たちの住む地球のことを考え、「サスティナビリティ」のことについて考えるキッカケになるとしたら、製作者の思いは十分に達せられるのではないか、とも思う。
迫力ある野生生物たちの生きざまをぜひとも大画面で堪能してみてほしいと思う。