1979(昭和54)年制作というから、今から37年前の映画である。スリルとサスペンスを謳った映画かもしれないが、荒唐無稽な陳腐なストーリーに鼻白む思いをしたのは私だけだったろうか?
めだかの学校の1月の「映画の中の北海道」は、昨日1月18日(月)に開催された。
取り上げた映画は、冒頭でのロケ地が中標津の原野になったことで取り上げられた作品のようだった。
原作はハードロマンという作風でスリルとサスペンスが売りの西村寿行氏の同名の小説の映画化である。
映画は武器輸出に絡む汚職事件を背景に、その秘密を握る主人を失った猟犬の活躍を描くものである。
しかし、その背景説明が粗雑で、登場人物の関係もいま一つ掴みきれないことなどから、映画の中に入っていけない苛立ちが私の中では続いた。
その上、むやみに銃を乱射し、簡単に多くの人が死んでいくストーリー展開にも頷けなかった。
出演陣が、鶴田浩二、島田陽子、夏八木勲、地井武男、藤巻潤、森田健作、三谷昇、三田佳子といった錚々たる俳優を並べていたのに、いかにも惜しい感じがする。さらには菅原文太がカメオ的に出演するというサービスまであったのに…。
唯一の見どころは、後年はTV番組「ちい散歩」などで好々爺を演じていた地井武男が極悪非道の悪役を演じていたことだ。その役がけっこうハマっていたように見えたから意外だった。
※ 極悪非道な悪役を演じた若き日の地井武男さんです。
錚々たる出演陣を脇に置き主役を務めるのは題名にも表れているとおり猟犬ゴロである。ゴロは紀州犬だという。紀州犬は鬼神の如き強さをもちながら、獲物を追い詰めても止めればけっしてとどめを刺さないという血統を有する犬だそうだ。
映画の冒頭、中標津の原野を激走するシーンをあらゆるカットから捉えるシーンが秀逸である。
それにしてもである。もう少し脚本が整理され、丁寧な映画づくりをしていれば、私の印象も変わったのではないか、と思えるところが残念な映画だった…。