スプリンターのセダン系は、兄弟車カローラとともに、1983年にFF化された。
通称「SEXYスプリンター」。
イメージキャラクターは古谷一行氏である。
基本的にはカローラと同じクルマなのだが、E80系に関してはボディパネルが大きく変えられており、ノーズはカローラよりもさらに低く見えるようにデザインされている。
4ドアセダンのキャビンは6ライト化され、そこはかとなくフランス車的。
トヨタ的土着さの薄いそのスタイルは、大いに好ましく思えた。
「セクシー・コクピット」。当時のトヨタのインパネのフィニッシュは、ややプラスティッキーで、あんまりセクシーとは言いがたいのだが・・・
当時のトヨタは「SE」というグレードにベージュのモケット地のシートを使い、高級グレードであることをアピールしていた。
そして、セクシー5ドアである。
張りのあるヒップが、確かにセクシー・・・いやあ、このカタログ、セクシーのオンパレードですな。
そのスペースユ-ティリティーには、古谷一行氏も、思わず目を見張る。
この時代のスプリンターと言うクルマ、デザインがカローラとは差別化されていて、そのカジュアルなイメージがなかなか私好みであった。
セクシーとまで言い切ることには、やや抵抗があるが・・・
時は流れ1987年。カローラ・スプリンター兄弟はフルモデルチェンジを受ける。
ここで、「カローラの5ドア」は消滅した。
ところがどっこい、スプリンターでは「シエロ」というセカンドネームを与えられて、「スタイリッシュ・5ドア」として生き残ったのだ。
いやあ、このグラッシーなキャビンが美しい!まさに5ドア・クーペコンセプトである。
この頃から、トヨタ車の内装の品質感はぐっと高まり、他社を寄せ付けないようになってきた。
そして「パノラミックデジタルメーター」。
デジタルメーターというやつも、ついにメインストリームに躍り出ることはなかったようだが、トヨタはあくまでもコレを設定し続けていたのだった。
シートアレンジ等を見る限り、絶対的なスペースユーティリティを追求しているようではなさそう。
だが、スタイリッシュなイメージで売るモデルだから、それでイイと私は思う。
TEMS(Toyota Electric Modulated Suspention:電子制御サスペンション)も、トヨタこだわりのディバイスでしたネ!
このようなモノを付けるまでもなく、良いサスペンションセッティングのクルマは枚挙に暇が無いこともまた事実。
大橋巨泉氏が「こんなモノいらない!」と叫んだかどうかは別として、この装置はやがて廃れていった。
だが、今でも一部の車種に残されているのは、やはり驚きというか、イイ意味でのトヨタのあきらめの悪さを感じる。
そして、DOHCの「GT」のMT車には本革巻きのシフトノブが装着されていた。
スプリンター・シエロ。スポーティーで、なかなかカッコよく、クルマ好きの友人との会話の中にも、時々登場するクルマであった。
だが、惜しむらくは、それを買った人が私の周りでは皆無だったことか。
また、スペシャリティーカー全盛のあの当時、やはりプレリュードかシルビアの方がよりカッコよく見えたのも、また事実なのである。
世に出るタイミングが悪かった。
スプリンターというブランドは、「スポーティでカジュアル」なイメージがあって、トヨタの中ではカリーナとともに好きなブランドであった。
だが、その車名も消滅して久しい。
残念なことである・・・合掌。