この東芝製トランジスタラジオ6TP-354の修理履歴です。それぞれをクリックしてください。
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とても小さな東芝製の故障したトランジスタラジオがあります。とても小さいので修理を控えていたですが、その回路図をある古い書籍内に見つけたので修理にトライしてみることにしました。いろいろなラジオを平行して修理しているので、直るのがいつになるか分かりません。のんびり修理しようと思います。
昭和30年代製造の東芝製トランジスタラジオ、当時としては驚異的に小さい
このトランジスタラジオの裏蓋を開けると、一番目に付くのが電池受けです。このサイズのトランジスタは普通、006Pと呼ばれる9Vの電池を使います。しかし、このラジオは単5と呼ばれるサイズの小さな電池を3個使います。この極小サイズの電池を採用したこともあって、とても小さなラジオになっています。
単5サイズの電池を3個入れる構造
このラジオは縦横も小さいですが、幅もとても薄いです。基板に素子が乗っているだけのような構造です。このラジオ製造当時、最初にサイズを決めてから設計したのではないかと思います。この薄さにするために極小サイズの単5電池を採用したのではないでしょうか。この電池の容量は小さいので、スピーカー出力も40mWと小さめ。
薄さもなかなかの構造 スピーカー出力は40mW
このトランジスタラジオの回路図や実物を見ると、JIS規格前の古い番号のトランジスタを使用していることが分かります。昭和30年代始めは、各社バラバラの命名をしていたようです。このトランジスタラジオは、製造元の東芝が自社で製造したJIS規格前のトランジスタを使用していました。
ちなみにこのラジオに使われているトランジスタ2S52は、JIS規格で2SA52となりました。その他2S49,2S53,2S54,2S56は、それぞれ2SA49,2SA53,2SB54,2SA56と変わりました。このうち2SB54は当時大量に生産されたのか、学生時代に私はよく使いました。比較的増幅率(Hfe)の高いゲルマニウムトランジスタでした。
このラジオの回路図(「トランジスタ教科書 昭和37年4月発行」より)
このラジオは保存方法が良かったのか、見た目にも綺麗で内部にもゴミが入り込んでいません。しかし見かけが綺麗にも関わらず、このトランジスタラジオの故障は電源4.5Vを入れてもさっぱり音が出ないことです。どこか電源関連の接触不良の可能性が高いと思います。のんびりと故障原因を突き止めて修理しようと思います。
当時の書籍に掲載された写真 このラジオに使用のトランジスタ