この東芝製トランジスタラジオ6TP-354の修理履歴です。それぞれをクリックしてください。
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前回はこのラジオに使われている素子などを調査しました。今回から、この東芝製超小型トランジスタラジオを実際に修理しようと思います。修理のためには基板を本体から取り出す必要があります。このラジオはとても小さいので、最初どこに基板を止めるネジがあるのか調べました。しかし、いくら探してもネジらしきものは音量調節用のボリュームの下に3箇所しかありませんでした。
裏蓋を外して、基板を固定しているネジを調査
ボリューム下のネジ3個のうち、2個はボリュームを基板に固定しているネジで、残る1個が基板を固定しているネジと分かりました。1個のネジだけで基板を固定しているはずはないので、目を凝らして調べるととスピーカーに妙な金具が付いていることに気が付きました。
スピーカー押さえ金具を外す ボリューム直下のネジ1個を外す
そのスピーカーに付いている金具は、簡単に外れました。すると、基板が少しぐらぐら動くようになりました。どうも、このスピーカー押さえ金具とボリューム直下のネジ一個で基板が固定されていることが分かりました。ずいぶんと簡単な基板固定の仕方です。ボリューム直下のネジ1個を外すと、筐体から基板を取り外すことができました。
筐体から外したラジオ基板、基板の裏側にはびっくり
ラジオ基板を筐体から外して、基板の裏側を見てびっくりしました。基板の裏側は銅箔をエッチングして作られた配線だけですっきりしているのが普通ですが、このラジオはその銅箔の部分が見えないくらい部品が密集して半田付けしてありました。こんな配線でよく寄生発振などが起きなかったものだなと思いました。製造当時の苦労に思いをはせました。昭和50年頃私はテレビの製造現場で働いていたので、電子機器の設計・製造の苦労を体験上よく知っています。
安定化電源から電気を供給 安定化電源の電圧を4.5Vにセット
基板を筐体から外すと、安定電源装置を使って規定の4.5Vの電源を供給しました。しかし、さっぱり音が出ません。スイッチ兼ボリュームを動かしても、ましてや周波数ダイヤルを回しても変わりません。そこでラジオ修理の定石にしたがって、自作のシグナルトレーサーを使って調査することにしました。
自作のシグナルトレーサーを使って基板の各箇所を調査
このラジオ基板はとても小さい上に、基板の裏側には部品が所狭して乗っています。シグナルトレーサーの先針が届かない箇所がありました。それでも何箇所か調べていると、高周波関連はちゃんとラジオ放送を受信していました。さらに、検波直後のボリュームにも音声出力が正常にきていることが分かりました。どうも、検波段以降の低周波増幅関係に故障があるかとが推測されました。目が疲れたので今回はこれで終了。次回、低周波増幅関連を中心に調査しようと思います。
中間周波段にトレーサの針を当てる ボリュームにトレーサの針を当てる