このトランジスタラジオ7TP-440の修理履歴です。それぞれをクリックしてください。
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修理(5/6) 修理(6/6)
前回は混合局部発信用トランジスタ周辺を調査しました。それらを総合的に判断した結果、短波受信時は局部発信しているが、中波受信時は局部発信していないのではないかと推定しました。これを確かめるため中波受信時に局部発信する発信コイル周辺を調査しました。特に、発信コイルに断線がないかどうかテスターを当てました。しかし、発信コイルの断線は発見できませんでした。
中波受信時に発信する発信コイルの裏側、ここを重点的に調査
発信コイルに故障はありません。ここで一つ気になっていたことがありました。それは、短波を受信しているときに、中波/短波切り替えスイッチを作動すると時々短波が受信できない状態になることでした。どうも中波/短波切り替えスイッチに接点不良があると思われました。
中波/短波切り替えスイッチを疑う 中波/短波切り替えスイッチ周辺の調査
そこで、中波/短波切り替えスイッチにつながるすべての線を、テスターで一つ一つ調べてみました。すると発見しました。中波/短波切り替えスイッチの接点不良(接点が常時開放)があり、中波受信時に混合発信用トランジスタのエミッタと発信コイルがコンデンサでつながっていませんでした。つまり、中波受信時に局部発信しておらず中間周波が生成されない状態になっていることが分かりました。これでは、中波はまったく受信できるはずがありません。
トランジスタラジオを調査・修理中のテーブル
中波/短波切り替えスイッチを経由しないで、発信コイルと混合発信用トランジスタのエミッタをコンデンサ経由で直接接合してみました。すると、うれしいことに中波を受信できるではありませんか。これで、このトランジスタラジオの故障が、中波/短波切り替えスイッチの接点不良であることが確定できました。
丸は、エミッタ側と発信コイル側の線 丸は、エミッタ側と発信コイル側を接合
結局、中波/短波切り替えスイッチの故障と分かりました。しかし、この故障をどうやって直すか困りました。発信コイルと混合発信用トランジスタのエミッタをコンデンサ経由で直接しながったままにしておけば中波だけは受信できます。しかし、短波へは切り替えできません。かと言って、50年も昔に作られたこの古いスイッチを手に入れることはもはや不可能です。
丸の部分の接点不良(中波側常時開放)のため、中波時に局部発信せず
実用上は中波が受信できるだけで困りません。しかしながら、常時中波受信にしてしまうと、中波/短波切り替えスイッチの存在価値がありません。今回は故障部位を確定したことでよしとして、次回中波/短波切り替えスイッチの接点不良を直せないか、または代替手段がないかどうか考えてみようと思います。
直した中波受信の状態を確認中、そして接点不良の代替を検討