稲城市にある城山に行ってみました。8年位前でしょうか、稲城市にあるデイサービスに3年ばかり働いていたことがあります。デイサービスは、お年寄りを自宅から送り迎えして施設で楽しく過ごしていただくサービスの一つです。送り迎えをしていると自然に市内の道順や町並みを覚えます。高層マンション,一戸建て,木賃アパートなどいろいろな住居を回っていると、お年寄りの生い立ちや家族関係などがおぼろげながら分かってきます。
お年寄りを送り迎えしていた稲城市の高層マンション群
ある高層マンションに住んでいたお年寄りのことをよく覚えています。髪を左右に三つ編みにしている女性でした。四肢麻痺のために全く体を動かすことができない方でしたが、お風呂がとても好きでした。お風呂に入るたびに、私はその三つ編みを解いて洗い、お風呂を出ると再び三つ編みを編んでいました。感謝の気持ちが顔の表情で分かる優しい方でしたが、あるとき自宅で亡くなられました。「もうこの高層マンションに通う必要がないのか。」と、ちょっとさびしい気持ちにさせられた方でした。それ以外にも、介護を通じて出会いと別れを体験した稲城市でした。
公民館前広場 城山に登る階段
稲城市の城山は、遠い昔の城跡ではないかと思います。よくは分からないのですが、稲城は平安鎌倉時代に坂東武者としてならした人々が群雄割拠していたらしい土地です。見晴らしの良いこの山に城があってもおかしくはありません。短い階段を登って山の頂上に上ると展望台があります。しかし、土日曜日しか開放していないとのことで、今回は登れませんでした。以前登ったとき、この展望台から都心方面がよく見渡せました。
都心が見渡せる城山山頂の展望台(平日は閉鎖)
城山が降りて周辺をのんびり歩くと、秋深いシーズンのためか街路樹がずいぶんと紅葉していました。地面をみると乾いた栃の実が落ちていました。この周辺は8年前とずいぶんと変わっていました。新しいマンションが立ち並び、公民館の位置が変わっていました。この公民館では以前、手作り石鹸などを購入したことがあります。
緑色,黄色,紅色など、さまざまの色の葉が入り混じったホプラ
一つだけ、全く変わっていない建物がありました。丸い広場を囲むようにして円形に立ち並ぶ円形集合住宅の建物です。丸い広場は手入れが行き届いていないのか、雑草が生い茂っていました。しかし、建物は綺麗に塗りなおされていました。
丸い広場を囲むように立てられた円形集合住宅、不思議な空間
曲線を描く集合住宅は、日本にはあまり例がありません。記念碑的な現代建築物のようにも思えます。この建物を見て、中国の巨大な円形集合住宅である客家円楼を思い出しました。ただ、8年前には子供達の姿がたくさん目に付きましたが、今回は子供2,3人の姿しか見えませんでした。この円形集合住宅も高齢化が進んでいるのでしょう。
棟が円形に並ぶため、広角撮影しても3棟しか写らない