【公案】(こうあん)
①公文書の下書き。②禅宗で、参禅者に示して座禅工夫させる課題。③工夫。思案。(広辞苑)
シリーズとして読み続けている「隠蔽捜査3」で、主人公が悩み解決のために書物を購入する。
その中の一冊に「さまざまな公案」について書かれた本がある。
小説のなかみに直接関わってくるのは、「婆子焼庵(ばすしょうあん)」という公案。
一人の雲水を20年にもわたって面倒をみていた老婆が、若い娘を使って抱きつかせ雲水を試そうとする。雲水は平然と何も感じないことを答えるが、老婆は烈火のごとく怒り、追い出し庵を焼いてしまった。
この公案の価値に最初気づかない主人公竜崎伸也
しばらく頭から離さずに、自分なりの解答を得た。
読者である私はある程度予想がぽっと浮かび、なあんだ簡単ではないの、と軽口を言いそうになったが、ちょっと考えてみると、そういう決断を求める構えでは座禅にならないんだと気づく。
案に集中し、問答をいくつ積み重ねられるかが肝心なのだ。
早く解決をみようとする雲水のその心が、老婆を怒らせたとも解釈できる。
公案とは、なかなか味わい深い。
「2014読了」16冊目 ★★
『疑心 隠蔽捜査3』(今野 敏 新潮文庫)
①公文書の下書き。②禅宗で、参禅者に示して座禅工夫させる課題。③工夫。思案。(広辞苑)
シリーズとして読み続けている「隠蔽捜査3」で、主人公が悩み解決のために書物を購入する。
その中の一冊に「さまざまな公案」について書かれた本がある。
小説のなかみに直接関わってくるのは、「婆子焼庵(ばすしょうあん)」という公案。
一人の雲水を20年にもわたって面倒をみていた老婆が、若い娘を使って抱きつかせ雲水を試そうとする。雲水は平然と何も感じないことを答えるが、老婆は烈火のごとく怒り、追い出し庵を焼いてしまった。
この公案の価値に最初気づかない主人公竜崎伸也
しばらく頭から離さずに、自分なりの解答を得た。
読者である私はある程度予想がぽっと浮かび、なあんだ簡単ではないの、と軽口を言いそうになったが、ちょっと考えてみると、そういう決断を求める構えでは座禅にならないんだと気づく。
案に集中し、問答をいくつ積み重ねられるかが肝心なのだ。
早く解決をみようとする雲水のその心が、老婆を怒らせたとも解釈できる。
公案とは、なかなか味わい深い。
「2014読了」16冊目 ★★
『疑心 隠蔽捜査3』(今野 敏 新潮文庫)