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その1割を問いかけねばならない

2014年04月06日 | 読書
 「2014読了」36冊目 ★★

 『職場は「話し方」で9割変わる』(福田健 リュウ・ブックスアステ新書)


 「〇〇は『話し方』で9割変わる」というシリーズで並んでいた。職場が変わったこともあり,ちょっとビジネス書でも読もうと思って購読した。

 著者は「話し方研究所 会長」の肩書を持つ。雑誌等では見かけた名前だが,書籍としては初めてだと思う。
 特に目新しいことを書いているわけではないが,具体的な例が豊富なので「使えそう」という気にはなる。
 ただ,それを具体的に現実に合わせて実行できるためには,やはり何が根本かを見きわめる必要がある。

 「話し方」のことを書いているが,実は「聞き方」や「話すなかみ」のことが肝心と説いている本だ。
 いつの場合も,自分本位ではなく相手の身になって考えることが,コミュニケーションの基本だ。

 つまり「変わる」ための要素とは,そういうことなのだと結論づけていい。

 ビジネスシーンで活躍する多くのやり手は,そういうことに長けているし,一つの型にはまらぬ工夫をし続けているのだろう。


 さて,「9割」という数字をどう考えるか。

 この著書でもそうだし,「見た目が9割」や「リサーチが9割」等々,「9割本」と呼ばれるほど多く出ているようだ。

 「ほとんど全て」「全てに近い」ということの数値化であることはわかる。インパクトのあるコピーだ。
 だが天邪鬼は「では残りの1割は何?」と考える。
 そこに共通項はないのだろうか。

 こうした題づけのほとんどは「成功」を意識している。
 「~~が9割できることによって成功する」という文脈である。
 ということは残った1割によっての失敗もあり得るということか。
 
 いや,成功や失敗という観点で括れない本質もあるということではないか。

 つまり,その1割とは「何のために」という根幹の部分という見方ができる。

 9割の実行によって保証された成功が,本当に喜べるものなのか,どうなのか,その1割が握っている。

 だから,9割本を読む前に,人はその1割を自分に問いかけねばならない…そんな結論に達する。