すぷりんぐぶろぐ

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当然ながら,デザインの肝とは

2014年04月19日 | 読書
 「2014読了」43冊目 ★

 『このデザインには理由がある』(社会情報リサーチ班・編 河出書房新社)

 表紙に直接次のように書かれてある。

 形・色・サイズ…人の心をグッとつかむ”驚きの仕掛け”とは


 デザインには多少の興味があるので,読んでみたがちょっと期待外れだった。
 「驚きの仕掛け」が見えてこない。

 例えば,冒頭は「スマホ フツウのケータイより丸っこいのは?」という項目だが,アップルの丸いデザインの歴史などと,四角いデザインと丸いデザインが交互に流行する傾向しか書かれてないのだ。

 とちょっと不満を持ったことで,自分は丸みが持つ「印象度」や「有利性」を考えてみたかったんだなとわかった。

 そういう意味では,様々な商品等が取り上げられているが,あまりそうした追求はされていない。
 ただ,「形・色・サイズ」に関する薀蓄はずいぶん語れそうだ。

 例えば,黒と黄の組み合わせを「警戒色」という,それは「進出色」と「後退色」の対照的な取り合わせから関係してくる…というようなこと。

 例えば,紙パック入りのジュースのラベルに,輪切り果物の絵が使えるのは,果汁100%のものだけ。誇大広告にならないため…というようなこと。


 さらに,学校に関わることにも面白いことがわかった。

 「カスタネット 赤と青の二色でできている理由」

 こんなこと,考えてもみなかったし,その理由が「赤は女の子の色,青は男の色というイメージが強かったので,男女兼用に使えるように」という,肩すかしのような結論だったことにも笑えた。
 ただし,そういう日本式のカスタネットにも正式名称があることは,初めて知った。「ミハルス」だそうである。

 また,「三角定規 わざわざ穴をあけたのは?」もなかなかだ。

 これにはなんと4つの理由があった。
 一つは,予想できたことだが,とりやすさである。穴に指をかければはがしやすい。
 二つ目は…と,ケチをつけた本をつかって薀蓄を弄しても始まらないか。

 驚きの仕掛けは見えてこなかったが,「デザインには理由がある」という当然のことはいくらでも実例が出せて解説はできるものだなあ,と変な感心をした。

 総じて,目的を明確にしている,それがデザインの肝であることは確認できた。