すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

読み方も考え方も,遊び方だ

2014年05月01日 | 読書
 「2014読了」47冊目 ★★★

 『国語辞典の遊び方』(サンキュータツオ  角川学芸出版)


 よくラジオや雑誌で「無人島に持っていく一冊」などという特集やコーナーがあったりする。

 大事に思う何冊かの本が思い浮かぶ。

 しかしそれを押し退けて,「国語辞典」というのが今の自分の結論だ。

 さしあたり,手元にある分厚い「日本語大辞典」(講談社)だろうか。

 あり得ない状況設定から問われてわかることは,やはり自分の嗜好や価値観だろう。
 辞典に興味があるのは,単なる活字中毒からかと思ったりもするが,言葉の解釈そのものへの関心が高いのだと思う。


 著者は,「辞書200冊をコレクションする,オタクで学者で芸人」だという。

 取り上げられる主な辞書は11冊。残念ながら手元に持っていないものばかりだ。
 今すぐ取り出せるところにあるのは,上記の大辞典となんと「旺文社 標準国語辞典」だけだ。「新明解」も学生の時買ったはずがどこへやったやら。

 最近はもっぱら電子辞書なので,辞典に興味があるとは公言できないのかもしれない。
 (ただし,児童用なら,教材研究用としてそれなりの数を揃えている…言い訳)

 さて,この本,著者のプロフィールを見ればわかるように,堅苦しくなく,しかも明快にそれぞれの辞書の特徴をとらえて,面白い読み物にしている。
 繰り返しの表現がやや多く気になるが,それもなんとか構成の妙に救われている。

 正直に言うと,かの『舟を編む』は読んでも観てもいない。
 ただ辞書を編纂する方々が,並々ならぬ決意と情熱を持って取り組んでいることは想像できるし,ある意味の変人(失礼,超人ですね)的エネルギーの持ち主でなければ,そうは取りかかれないことだろう。

 だから著者が書くように,「序文」には強いメッセージがあるのだな,こだわりの語句に特徴が表われてるのだな…そんなことがわかる。


 書名となっている「遊び方」は,実は「読み方」であり「考え方」なのだが,それらを総括すると,まさしく「遊び方」に極まる。
 それも結構レベルの高い遊び方だなと思わざるを得ない。

 典型的なのが国語辞典のキャラクターづけ。今風のセンスも面白いではないか。

 「新明解」(もう一度最新刊のものを)と,著者お薦めの「基礎日本語辞典」を買い求めて,遊びへの一歩を踏み出してみようか。