すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

親育ちの鉄則として

2014年05月08日 | 読書
 「2014読了」51冊目 ★

 『子育ての鉄則』(星幸広  大修館書店)


 著者は、元警察署長である。
 その職業を通しての経験から、「子育て」に対する提言を「鉄則」という強い言葉で打ち出した。

 その内容について、特に目新しいといえる項目はないかもしれないが、著者のキャリアから強調したい点は過不足なく伝わってきた。

 個人的に納得かつ心に残るキーワードは、次の二つである。

 「口は斧をもつ」

 「なり直し」



 少年少女の事件の現場で、親の言動やその子たちの成育歴を多く目にしてきた著者は、「何げなく言った一言」の重さを、「斧」と表現した。
 もちろんそれは否定的な言葉であり、それによって心を閉ざし、傷つき、路を誤った事例をたくさん見ているということだ。


 「なり直し」とはあまり耳にしない言葉である。
 叱りっぱなしにせず、前向きな確認や評価の言葉かけ、寄り添いを行うことで、信頼感を保っていくということである。
 それはけして機嫌取りとしてではなく、親の「役目」としてきちんと実施すべき行為という。


 子育ては、言うに易く行うに難しい。
 結局のところ、「子育て」とは「親育ち」と表裏一体のものだし、この本でもその点は繰り返し強調されている。

 だから、「これだけは」という限定を課して進めることが現実的ではないかと思う。

 「口は斧をもつ」という警句そのものに価値はないが、それを繰り返し口にしてみることによって、過去や今を振り返られるし、一歩いや半歩進んだとはいえまいか。
 駄目だったら明日があるさ、という軽い気持ちも大事だ。
 「なり直し」とは、叱り方の一つのセオリーでもあるし、見方によっては楽観的、前進的なイメージを持つ用語のように響く。


 親の世代が、素直に子どもを可愛がると同時に、ネガティブな感情にあまり左右されず、子と向き合うことが大事だと感じる。
 その心持ちがあれば、どんなに微々たる歩みでも「親育ち」は続くだろう。

 著者は最後に「ほめて叱って子育て楽しめ」とまとめた。
 それは「親育ち」の鉄則でもある。