すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

脇役の台詞採用を願って

2014年05月02日 | 読書
 「2014読了」48冊目 ★★★

 『ルーズヴェルト・ゲーム』(池井戸潤  講談社文庫)
 

 TBS系列がない本県なので、放送されるかどうかはまだ不明だが、テレビドラマで見るよりも先に読みたかった。

 ネットなどでキャストが発表されていて、唐沢・江口の顔がその中に見えた。かの名作「愛という名のもとに」コンビというか(どうも古いねえ)、「白い巨塔」タッグというか…。この二人の組み合わせは結構いいと感じている。
 
 「半沢直樹」超えは無理とは思うけれど、それなりに楽しめそうだ。

 そんなことで、この小説を読み進み、徐々に迷いだしたのは、誰が主人公か、ということ。
 テレビのことがなければ、群像劇っぽいのかと考えて、そんな思いは抱かず読めたかもしれないが、どうも気にかかってしまう。

 全体を通してみると、野球部長の三上が妥当だと思えるし、最後まで登場するマネージャーの古賀でもいいし、社長の細川とは言い難い気もするがあり得ないわけでもない…とあれこれ逡巡した。

 ドラマ化だとすれば、誰かに焦点をあてるはずなので、それもまた脚色のあり様をみるにはいいかもしれない。


 さて、肝心の話の中身は確かに痛快劇ではあるが、先が読めてしまうようなところもあって、面白さとしては『下町ロケット』の方に軍配が上がると思う。
 ただ、野球というスポーツを扱ったことで、選手としての生き方などを重ねられる点が幅を持たせているだろう。ドラマとして試合場面をどう描くかはポイントだけれど…。

 池井戸作品は、結構いいセリフが詰まっていて、共感できる要素が多い。

 下に並べるこの言葉たち、ドラマでは採用されるだろうか。
 それとも、埋没してしまう言葉だろうか。
 そんな興味を持ちながら観てみたい(ただし、放送されたら、という話で)。


 「会社の数字には、ヒトの数字とモノの数字がある。・・・(略)・・・・解雇を伴うヒトの数字を減らすのなら、経営者としての『イズム』がいる」

 「野球をやめたことを終点にするな、通過点にしろ」

 「自分たちには、自分たちのよさがわからない。外部の人間が見たとき、つまり比較するものを持っている人間が見て初めて、会社のどこが優れているかがわかるんだ」



 当然脇役ではあるが、「会長」とか「監督」の言葉が多い。