すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

脳や口,黙れ!という本

2014年08月17日 | 読書
 「2014読了」81冊目 ★★★

 『縦に書け!』(石川九揚 祥伝社)

 9年ぶりの再読となる。簡単なメモをこのブログに残してあった。
 
 読んだのは発刊後すぐの単行本だった。現在は新書で出ている。

 表紙裏に書かれてある出版社からの内容紹介の違いが面白い。

 私の持っている本には「警世の書」とある。
 新書には「憂国の書」とあるようだ。
 警世から憂国へ,ある意味この9年の歴史を物語っているのだろうか。


 第一章 言葉が力を失った社会

 第二章 「日本」とは「日本語」のことである

 第三章 「縦書き」こそが精神を救う


 この章の流れが骨格である。
 内容表現が重複しているような部分が気になったが,おそらくそここそが強調点なのだ。
 実に説得力のある本だと改めて思った。

 その感想をこうしてパソコンのキーボードで叩いている自分を俯瞰しながら,大事と思う箇所を二つだけ書き留めておきたい。

 「はなす」と「かく」

 人間は手である



 前者について,言うまでもなく「話す」と「書く」こと。
 その語源をたどれば,「はなす」は「離す」「放す」に通ずる。
 そして「書く」表現が通じているのは,「掻く」「欠く」であり,「描く」である。
 この違いに目をつけると,文字表現の根本とは何かを改めて考えさせられる。

 後者に関しては,「書き手」「話し手」だけでなく「働き手」そして野球守備の呼称など,人間を「手」で表していることを,学校の教室でも教わってきている。
 その意味するところは何か,もう一度深く考えざるを得ない。

 「手」を使ってどれほど意味のあることができるか,これこそが人間の本質である。
 脳や,まして口などに支配されて,動かしている手など,いかほどのものか。

 そう思っていると,次第にキーボードをたたく音も大きくなってくる。
 これでいいのだろうか。