すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

潜在と顕在をつなぐもの

2014年08月23日 | 読書
 「2014読了」85冊目 ★★

 『ヒドゥンカリキュラム入門』(多賀一郎  明治図書)

 この著では,ヒドゥンカリキュラムを「潜在的教育効果」と定義づけている。「かくれたカリキュラム」と微妙な差異も感じる。語義的な点はさておき,中心は「プラスのヒドゥンカリキュラム」だった。「かくれた」「ヒドゥン」というより「教師のもつ,備えている」面が強いように感じた。「セルフ」では変か。


 少し分析的な見方をすると,教師自身に備わっている性向に強く関わることと,技術として身につけるべきことに分けられる。前者は,学級づくりだけでなく,個別対応や保護者対応にも大きく影響すると思う。だからこそ,その点をプラスに転じさせようとする発想と実行力が一番のポイントと言えるかもしれない。


 構成の面白い点の一つに,小見出しとまとめ?の連動がある。いくつかのまとめのパターンがあるようだ。「趣旨説明」「趣旨強調」「具体策」「代替策」…特に最後が実践的である。「教室に音楽や歌がある→音楽や歌が苦手ならCDがある」「笑いをとる→笑いが苦手ならユーモアたっぷりの絵本を使えばよい」



 この本では「優れた実践家に共通するヒドゥンカリキュラム」として三つの点を挙げている。「笑顔がすてき」「素直である」「話題が豊富」…校内研にお招きした佐藤正寿先生の模擬授業や講話をお聞きしながら,深く納得できた。そしてたぶん,この三つは総合的に表れて強い効用を示すという点も強く感じた。


 佐藤正寿先生が,講話の最後に有田和正先生の模擬授業を映された。6分間視聴し,学びや気づきを3つ以上書き出すという課題である。素直な自分(笑)が取り組んだら6つは書けた。短いグループ協議をして,これは使えるとすぐ感じた。まさに「ヒドゥンカリキュラム入門」の有効な手法と言えるのではないか。