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時計、動き出す

2015年06月23日 | 雑記帳
 ふだん腕時計はしていない。しかし同期会の祝賀の席の進行を任されたので必要かと思い、机上に置いたままだった時計を取ったら、なんと動かなくなっている。単純に電池切れかと思い、近くの量販店に持ち込んだら「ソーラーですよ」と言われ頭を掻いた。あれっ、ではどうして動かない。光は当たっているのに。


 もちろん一万円足らずの安い時計だが、電波時計だから通常だったら再稼動するはずではないか。時間もなかったので、時計をしないままに祝賀会をこなした。進行用の机にはデジタル時計もセットされていたし、不便を感ぜずにやり終えた。一日半の全日程を終えて帰宅後、再び、何故時計は動かないモードに戻る。


 あちこちボタンをさわっても、妙な表示が出たり、速い回転で秒針がまわったり…結局、説明書かと思い、最初からやり直すこととなった。必要度の低い腕時計だったら、こんなことをしているよりいつか買ったらいいという考えも頭をもたげたが、捨てきれないなあと思う。本当に使い物にならないのか、おまえは。


 マニュアルに従って、初期設定や時刻合わせをしたら途中までは順調だったが、電波を受信できないまま時間が過ぎた。途中から、なんだか自分のようだと妄想する。「還暦」は「生まれ年と同じ干支になる」つまり、一回りして0からの再スタートという意味もあるらしい。時計もリセットしたかったことがあったか。


 標準電波の受信復活を願って南向きの窓辺に放置した時計は、帰宅したら元通りに…なっていなかった。どうしてか。もう一度説明書を見てやり直す。しかし再び変な時刻を指してしまう。結局、受信できないということか。では、窓を変えるか。風呂場の東向きはどうだ。…おおうっ、しっかりと現在の時を示した。


 原因は長い間暗い場所に置き、警告期間も十分あったのに気づかなかったことだ。その結果、通常では標準電波を受信できなくなった。しかし、明るい方さえ向けば、受信してしっかり動く。まるで自分の心身にも当てはまるような気がした。手にとると「まだまだ現役でいけそうだよ、君も」と時計が輝く(わけがない)。