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ライフ、ライク、ライト

2015年06月26日 | 読書
 【2015読了】59冊目 ★★
 『いま伝えたい!子どもの心を揺るがす“すごい”人たち』(水谷もりひと ごま書房新社)


 みやざき中央新聞のことは以前から少し知っていた。サイトも訪れたことがある。編集長の“熱い”社説が評判のようだった。

 よく訪問するブログでこの本の紹介があったので、よい機会だと思い注文してみた。
 子どもたちへの話のときに参考にできるかな、という考えもあった。

 全編を読み終え、「ネタ」として小学生に使えそうなものは予想したより少なかった。
 まあ、自分自身の咀嚼が足りないこともあるかもしれない。
 高学年であればいくつかのエピソードは、いい材料の一つになるには違いない。

 ただ、そうしたネタ収集以上に自分にとっていくつか心に響いた内容があった。

 著者は、最近なり手の少ないPTA会長の役回りを進んで引き受けた。5年間も務めたという。
 その仕事のなかに楽しみを見いだしたことが大きい。そして教育の現状からこう断じた。

 「第一に親の教育」これに尽きる

 この提言は明らかに本質をついているが、同時に難しさも抱えている。

 単純に共感しつつ、次の文章にうつると、これがまた納得、自省を促される。
 学校に数多く足を運び、著者自身の目でとらえた真実であろう。

 学校には、幸せそうな先生と幸せそうに見えない先生がいることも知った。

 そして、こんなふうに文章は続く。

 幸せそうな先生は教師になってからも人間として成長した人だと思う。

 実は、教師になって仲間や同僚に誉められた経験は何度かあるが、7,8年前に勤めた職場である同僚に「本当に幸せそうに見える」と言われたことは忘れられない。
 何かができる出来ない、上手下手、見栄えがするしない…などをすっ飛ばしそうな賛辞である。
 かといって、著者の論に添えば自分は成長できたのかなあ、といささか不安も持っている。
 で、思い浮かんだのが…成長を導いてくれた我が師のこと。今夏は行かねばなるまい…と決断し、申し込んだ。


 と、読書から離れてしまった…

 さて、後半の第三章に心に残る話が多い。
 特に、予備校に勤めていた小島さんのエピソードがいい。
 面談をしたらふてくされたような態度の生徒がいて、後で手紙を送った。
 それから一カ月後、授業に出てきて、「ちゃんと勉強する」と宣言した理由が、「デッカイ満月を見た」ことだと語る。そして、小島さんにこんなことを言う。

 「先生もたまには月でも見ねぇと、つまんねぇおばさんになっちゃうぞ」

 内省の時を逃すな、これは全ての大人に言えることだな。


 「終章」は「ライスワークからライフワークの時代へ」と題されて、まさに身をつまされるお年頃の自分にぴったりではある。
 本文の中に、その題名とつながる二つの言葉を見つけて嬉しくなった。
 「ライクワーク」そして「ライトワーク」である。