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テクニックを導く思考

2015年07月23日 | 読書
 佐藤優はベストセラー作家であることは知っているが、単行本に手を出したことはない。ただ多くの雑誌で文章、対談などは目にしていて、さすがの切れ者という印象がある。時間術を特集した月刊誌に「佐藤優の手帳テクニック全公開」が載っていて興味深く読んだ。これは「テクニック」を導く思考の問題だった。


 「情報はすべて一冊のノートに」という点は、結構多くの人が語っている。デジタル管理は全盛だが、それはチームの場合有効であっても個人完結型に当てはまらない。情報検索にしてもアナログが速いと言い切る。この肝はここだ。「自分が消化できる情報容量を考えたうえで、入れる情報の取捨選択をしよう


 「スケジュールは二年手帳に」…手帳とノートの使い分けに関してはよく話題になる。この部分が実に佐藤氏らしい。「夢や目標は、基本的に自分の頭の中に刻み込まれている(略)そもそも書かなければ達成できない夢や目標は、おそらくどこかに無理やウソがある」。手帳術で成功できない者の無理やウソとは何か。


 「一日を振り返り、記録する」…ノートに一日の行動記録を記すという。意味は二つ。「情報のインデックスにする」「不要な仕事の存在や非効率な時間の使い方の把握」。なるほど。これは徹底して事実を追い求めていく姿勢の具現化といってもいい。書くことによる事実の客観視。夢を書かない理由と表裏の関係だ。


 「明日できることは今日やらない」…一般的にはのんびり型?の思考に見える。前倒しこそが仕事上手というイメージを自分も持っている。しかし、氏の考えは「その意識を持つことで仕事の緊急度を冷静に判断できる」「ギリギリの状況に追い込んだほうがいい仕事ができる」だ。修羅場をくぐりぬけた者の実感だろう。