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「つくる」という広さ、深さ

2015年09月17日 | 雑記帳
 来年度の新しい統合小学校の準備に取り掛かっている。様々な内容のなかで、教育目標案を示しておくことは大事な仕事である。アプローチは多様だが、スローガン的文言は自在性があり、教育内容と結びつけやすいだろうと考えた。そこで教育コピーライターを自称?する私が導きだした言葉は「つくる」である。


 「つくる」は周知のように意味の広いことばである。広辞苑の文章を引用しながら考えてみる。

 つくる【作る・造る】材料にあれこれ手を加えて目的の物をこしらえ出す

 大きな分類として、次の3つがある。

 ① 別の新しいものを生み出す
 ② 無いものをあるようにする
 ③ 鬨(とき)の声をあげる。報ずる。

 当然①の意味が主となる。②と③は用例からみて、古文的な扱いである。

 さて、①は全部で11に区分されている。

 (1) こしらえる。くみたてる。
 (2) 耕作する。栽培する。
 (3) かもす。醸造する。
 (4) ある形にととのえる。かたちづくる。
 (5) ある結果を生じさせる。
 (6) 子をうむ。出産する。
 (7) 設立する。創造する。
 (8) 料理する。
 (9) 治める。経営する。
 (10) 育てる。養成する。
 (11) 囲碁で打ち終わった後に盤面を整理して、双方の地を数え、勝敗をあきらかにする。


 (6)と(11)を除けば、どれも学校教育の内容に深く結び付くものであり、なかなかいい選択だと思った。


 「つくる」ためには、様々な「動き」が必要だし、「工夫」もほしい、さらには「時間」は欠かせない。「作る」「造る」だけでなく「創る」も知られている言葉である。私はかつて、教務をしていた頃に出した校内報の名前を「為」と書き「つくる」とルビを振っていた。これは読める人は少ないだろうが、意味は深い。


 「為」は会意文字で「象を手なづける」が起源である。調教は極端だが、いずれ教育は「つくる」仕事でありたい。何を、どんなふうにつくるかをたえず意識したい。構えとしてはふさわしい。と、実際はずっと心に宿していた一篇、まど・みちおの名詩「朝がくると」。その精神を盛り込めないかと考えたのだった。