すぷりんぐぶろぐ

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最先端の風景が見える人

2017年12月06日 | 読書
 羽生善治「永世7冠」のニュースを見る。寝ぐせがついたような髪型そのままに、淡々と語る言葉に惹きこまれてしまった。



 思わず凄いとずんと響いてきたのは、今後の勝負と将棋の本質について訊かれたときの返答だった。

Volume87
 「将棋の世界は、基本的に伝統、長い歴史がある世界ですが、盤上で起こっているのはテクノロジーの世界。日進月歩でどんどん進んでいます。過去の実績で勝てたといっても、これから先に何か盤上の上で意味があるかと言われれば、あまり意味がなくて。常に最先端を探求していくという思いでいます。」


 トップランナーと称される者の重みが、ずしりと伝わってくる。
 「過去の実績」が「盤上の上で意味」はあまり持たない、という潔さは到底凡人が達する境地ではない。

 世界中を見渡せば、結構な数のアスリートやアーティスト、経営者など該当するかもしれないが、やはり「孤高」に近いイメージがある人に限られるのではないか。

 その「道」の最先端に立ったことのある者しか見えない風景であろう。


 が、しかし……これは現実にその位置に立ったことがある者でも、ひょっとしたら見過ごしてしまう、また気づかないでいる境地であるのかもしれない。

 きちんと見える者には、そう、きっと「品格」が備わっている。

 と、何か「騒動」論議につながりそう……。
 ただ、将棋の世界に生きる者たちが互いに刺激しあい、尊敬しあえるとすれば、それは「盤上」でしかないだろうことは、今回の発言でも気づかされる。
 そしてそれは勝負のある世界すべてに言えることだ。