すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

本当のゴールはその時間

2017年12月10日 | 読書
 北朝鮮とのサッカーの試合をイライラしながら観ていると、実況アナウンサーや解説が、盛んに「選手同士のコミュニケーションが……」と口にする。こういう言い回しはずいぶん一般的になったものだ。それは勝利を目指した真っ当な使い方なんだろうけど、もう一つ大事な見方があることも忘れてはいけないよ。



Volume89
 「人は、コミュニケーションを、成功というゴールに向かうための一手段、成果をゲットするためのツールだと考えがちだけれど、それは勘違い、スケベ根性というものであって、人生で大事なのはコミュニケートする時間そのものなんだ」


 雑誌『暮しの手帖』の澤田康彦編集長が、知人に「コミュニケーションは目的なんだよ」と言われ、その素敵さについて語っている。

 「コミュニケーション能力」というものが、経済やキャリアアップのためにしか使われないとしたら、ずいぶんと哀れな気がする。
 バリバリのやり手のビジネスマンが、外での商談や会社でのつきあいなどをうまくこなしているが、家庭ではストレスもあって無口だったり、乱暴だったり…なんていうイメージも湧いてくる。

 そうではなくて「幸せになるため」ということであれば、コミュニケーションそのものを楽しめる能力、姿勢の方がずっと大事だ。
 
 もちろん、多くの人と幅広く、明るく、活発にできることにこしたことはこない。
 しかしそれだけでなくて、数は少なくともじっくりと触れ合うコミュニケーションがあってもいい。

 今在る場で精一杯交わったり、自分のできることで人を喜ばせたりしたいものだ。

 澤田編集長は、その時の「大事なルール」をこんなふうに語っている。

 「その人と一緒に使う時間を、気長に丁寧に取り扱うこと。効率は考えない