すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

王道が引き寄せる決断と結果

2017年12月14日 | 雑記帳
 リオオリンピック、男子陸上競技400Mリレーの話である。関心が高い人はすでに知っている事かもしれない。先日送付されてきたある冊子にオリンピック強化コーチである苅部俊二氏のインタビュー記事が載っていた。日本チームのハイライトともいえる、あのリレーの件が語られていて、その事実にううむと唸った。


 (小学5年はこの程度)

 報道されていることに「予選と決勝の間に作戦修正」がある。具体的にはこうだったという。予選記録が37秒68。これは通過順位2位だが、他国の選手温存を考えるとメダルを獲れない可能性が高いと判断した。確かに決勝記録を今見ても、米国の失格がなければ予選タイムを出しても4位に留まった結果となる。


 そこで苅部コーチは選手たちに選択を迫る。「無難に4位か5位をねらうか、それとも惨敗覚悟で攻めるか」。その重要な決断を選手たち自身に任せたのだ。「士気を高める」ために、コーチとして心がけていることを口にした。「予想どおり」に、選手たちは後者を選ぶ。そこで走り出しのタイミングのマークが変えられた。


 2走と3走の間を7㎝遠く、そして3走と4走の間を14㎝遠くにマークを置くことに決めた。ただそれは「事前練習なし」。それでもクリアできたことが培った力なのだ。今までの練習と検討の積み重ねであることは言うまでもない。結果として、決勝で36秒60の記録で走り、その0.08秒の短縮がメダルを引き寄せた。


 リレー競技が日本人に合うことは、よく語られる。それは「個の力を結集させて、より大きな成果を挙げる」ことに気質があうからだ。封建的な縦社会でも可能にも見えるが、今の時代、上意下達的方法では限界がある。そう考えると苅部氏が語る「教えすぎない」「個の力の把握」を徹底する指導法が今、王道と判る。