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桜と絵本と豆乳と

コーチの意味を貫く人

2017年12月26日 | 読書
 バッグのブランド名である「COACH」と、スポーツ競技のコーチは同じ語源から来ているようだ。ハンガリーで作られた四輪馬車は大変駆動に優れたものらしく、作られた町の名が広まったということか。「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」という意味が、競技等の指導者に使われたことに思いを馳せる。



2017読了130
 『挑む力 桑田真澄の生き方』(桑田真澄 集英社文庫)


 これは多くのスポーツ指導者に読んでほしい一冊だ。書名は「〇〇力」流行?でつけたのだろうが、個人的に優れているのは吸収力や対応力だと思う。筆者の小・中・高時代はある意味「苦難」の時代。当時の体罰やいじめに対して、どう気持ちを向かわせたか。類まれな精神力もあるが、「問う力」で乗り切っている。


 筆者自身の幼い頃から大リーグを引退するまで、関わってきたたくさんの指導者とその指導法について非常に冷静な目で観察している。そのうえで「野球の用具と戦術は、進化しています。でも指導法は進化のスピードが遅れている」と明言している。この理由の一つに「誤解された野球道」の継承ということがあった。


 大学院で研究対象とした、飛田穂洲氏の野球哲学をもとに、戦前の指導者たちが目指した理念が、戦争によって捻じ曲げられた経緯を明らかにしている。そこで抜け落ちてしまった合理性や科学的な考え方を浸透させることが、筆者の願いでもあろう。典型として記してあるバッティング理論は、すっきり納得できた。


 素人ながら「ダウンスイング」打法優先に、私も疑問を抱いてきたので共感できた。さて、野球選手として「桑田」の評価、好き嫌いは個人差が大きいだろう。しかし体格的に恵まれない身体で信念を貫き、数々の壁に挑んだことは賞賛に値する。ただ秋田県人として、甲子園準決勝の本塁打だけは忘れていないが…(笑)。詳しくは↓
 http://blog.goo.ne.jp/spring25-4/e/467954461f00f17e142afd5f7d54bca4