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心を形にする話…その1

2018年03月06日 | 教育ノート


 町主催の講演会に参加した。講師は現在常磐大学教授の秋山邦久先生。本県のスクールカウンセラーをもう20年以上も務めておられ、ずいぶんと関わりが深い。私自身も現役の頃は何度となくお話を聴いている。いつも納得させられることばかりだった。今回久しぶりにお聴きし、共感する芯を確かめられた気がした。


 今回の参加者は役場職員や福祉関係者が多いようだったが、秋山先生は「見守ります」や「寄り添っていきます」という言葉は禁句だ、と何度も繰り返された。そうしたお題目だけで改善はできないという強い意志の現れである。「カウンセラーは話を聞く仕事ではなく、関係性を改善する仕事だ」の言葉が心強かった。


 関係性の改善のためには「技術」が必要なのである。「技術を持っていることが、愛情があること」と言い切った。これは単純だが実に重く、厳しい思想である。講演の中で、その技術の内容についてかなり具体的に、聴衆に対して直接アプローチし例示する形が見事だった。へたな漫談よりはかなり笑えた(自分だけか)。


 「上手なほめ方」として六つのポイントが挙げられた。その中味よりも印象に残ったのは、様々な場で講演する先生が、これらの方法を知っていたのは小児科医とおっしゃった件だった。「小児科医は技術を持っているから」という一言と、医師不足が伝えられる現況を考え合わせると、先行きの不安要素が少し高まる。


 人間相手の仕事をしていた自分は「上手なほめ方」が出来ていたか。若い頃はずいぶん苦手だった気がする。今回挙げられたポイントの中で、特に「質問で(ほめる)」「噂で(ほめる)」の技化は完全マスターが出来なかったなあ。誉め言葉を伝えるための、微細な技術は意識化、記録化が大事と今さらながらに思う。