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ガツンと来た読み初め

2019年01月03日 | 読書
 年間100冊読了を意識してちょうど20年が経った。99年に99冊を目標に掲げ100冊超えを果たしてから、記録するようになった。途中二度カウントしなかった年もあるが、ペースはそんなに落ちていない。150冊以上読んだ年もあった。概ね2200冊程度になったか。メモ継続は、数よりペースメーカーとして貴重である。


2019読了1
 『なぜ人と人は支え合うのか 「障害」から考える』(渡辺一史 ちくまプリマ―新書)



 年末から読み始めたこの一冊。実に素晴らしい内容だった。新書それもプリマ―なのでいわば初心者向けと言ってもいい。それに感銘を受けたということは、いかに知らなかったかを痛感したからだ。仕事を通じて特別支援教育等にも関わってきたけれど、障害者や福祉の本質を見据えられなかったことを今、反省する。


 著者は、最近映画化されTVでも紹介された「こんな夜更けにバナナかよ」の原作者。そのモデルである鹿野さんとの出会いから、障害の問題について深く関わるようになった。この一冊を仕上げるのに5年を要したという。「失望と停滞の連続」と自ら書くほど遅々としていた。だからこそ問い直しに溢れた本になった。


 共生社会という言葉は一般化し、障害者と健常者も共に生きるなどごく普通に私たちは使うが、ではいったい現実としてどんな姿なのか。これは「障害」とは何かという理解によって、かなり見え方が違ってくる。提示されている二つのモデル、「医学モデル(個人モデル)」と「社会モデル」を知ることが大切である。


 前者は、障害とは「個人に付随する特質」と考える。後者は「人と社会との相互作用によって生じるが障害」と考える。このとらえ方の相違は決定的である。例えば、車椅子の人に手助けする行為をする一つとっても、障害をどのように理解しているかによって、我々の置かれた社会の見え方が違ってくるということだ。(つづく)