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桜と絵本と豆乳と

落ちこぼれの入門書読み

2019年01月07日 | 読書
 自分のなかでは何年かおきに短歌ブームが起こるようで、去年は別サイトに写真と一緒にアップしていた。まったく不定期で、さらに画像と詞の取り合わせの難しさもあり、ちょっと逃げ腰になっている状態だ。そもそも入門書好きなので、去年も俵万智の新書再読や佐佐木幸綱の本を読んでいるが、身につかない。


2019読了2
 『今はじめる人のための短歌入門』(岡井隆  角川選書)


 先月、糸井重里が『今日のダーリン』で紹介していた一冊を取り寄せて読んでみた。この歌人について名前は知っているけれど、親しみがあるわけではない。ずっと以前の印象として「難しい」イメージが残っている。三十年以上前に書かれたこの著は、初心者向けであり、難しくはないけれど、実はかなり厳しかった。


 短歌であれ詩であれ、テーマを選ぶことが出発であることは間違いないが、この歌人は冒頭の章でこう書いている。「『なにを歌うか』などということに腐心しないことです。うたうべきことなどは、この世にないといってもよく、また無数無限であるといってもいいのです。」この境地への遠さは計り知れないと感じた。


 「おのずから、その人の胸に落ちてくる」「短歌という詩型が、おのずから呼び寄せる」ものだという。漠然としたように聞こえる言い回しは厳しさに裏打ちされている。おそらく多くの初心者に共通する現実…「わたしの接して来た初心者の人たちは、わたしほど、短歌がすきではないらしい」…憧れの強度の差だ。


 私などはやはり決定的に落ちこぼれである。さらに「あくまで、文語的表現に立脚するもの」「紙と鉛筆さえあればできるというような安直なかんがえ方」と追い込まれると、「今やめる人」の決心を迫られているようだ。ただ、歌人の持つ言語表現への追求の熱は、ひしひしと伝わってきて刺激的だった。詠いたくなる。


 困難な道と知り得てペン持てりことばを愛しうたを生む人