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アンダーラインを引く生き方

2019年01月13日 | 読書
 この本の結論は題名そのものにある。まず「あまのじゃく」だ。天邪鬼とは、ひねくれ者、意地っ張りという意味。そもそも仁王や四天王に踏みつけられている小鬼のこととよく知られている。そう言えば数年前、京都のお寺でまじまじと見たことがあった。小うるさいイメージ、安易に妥協、追従しない構えである。


2019読了4
 『「あまのじゃく」に考える』(平川克美  三笠書房)



 「考える」とは「自分の頭で考える」ことである。この本ではこんなふうに表現されている。「答えを求めるということではなくて、引っかかりのある事柄にアンダーラインを引くということ」。アンダーラインを引くという読書方法を取っている人は多いだろう。どういう部分にラインを引くか考えると、見えてくる。


 まったく知らない所には引きようがない。そして全くわかっている箇所も引かない。そうなると…と筆者はこう記す。「未知でも既知でもない部分」。なんとなく思っていたことを言語化してくれたり、当たり前と思っていたことが揺さぶられたりする箇所…自分の中にあるけれど、完全にものにしていない部分である。


 「自分の身のまわりに『アンダーラインを引ける人』」と筆者は書く。それは、てきぱきと情報を処理し、問題をこなしていくビジネス思考とは、一線を画している。まずは周囲の小さなことに目を凝らし、様々な情勢についても偏らず反対意見にも耳を傾け、ねばり強くラインを引いた箇所に問いを持ち続けることだ。


 昨年読み、再読する予想はあった。意外に早かったな。不甲斐なさを曝け出せば、粘り強くないので何度も読む必要がある。忘れていた大事な言葉を見つけた。「『強い現実』に軸足をおく」「六十歳を過ぎれば、自分は何ができないか、自分はどんな人間でないかということがわかる」アンダーラインはまだまだある。