すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

妄想作家との出会い

2019年05月08日 | 雑記帳
 「妄想」とは辞書にはあまりいい意味で載っていない。ちなみに広辞苑には「①みだりなおもい。正しくない想念②根拠のない主観的な想像や信念」などと記されている。しかし、だからこそ面白い。端的に言えば、想像力を高めるためには、当然ながら妄想の部分も含めなければならない。第一、妄想は楽しめるし…。


 絵本作家ヨシタケシンスケの『りんごかもしれない』に出逢ったのは何年前だったか。校内の読み聞かせのためにPPT化し、大型TVで絵を映しながら読んだ記憶もある。さらに、それを生かして六年生卒業祝賀会用にある企画を考えたことがある。いわば妄想力アップのための導入授業と言ってもいいかもしれない。


 『りんごかもしれない』を読み聞かせたあとに、「この絵本の発想をもとに…クラスの仲間を、妄想、してみます」と切りだす。この辺りでは子供たちはチンプンカンプンなのだが、シートを渡し書き込む形が「~~~かもしれない」であることを示しいくつかの例を挙げていく。すると結構子どもたちの目が光りだす。


 「○○君は宇宙人かもしれない」「□□さんは白菜かもしれない」という基本パターンから「△△星人」「最高級の白菜」というアレンジを加える手法。さらには「~~すると~~(なる)かもしれない」「~~しても~~(ない)かもしれない」という別パターンも紹介する。その他も自由だが「かもしれない」形に集約していく。


 すぐに作業に入れる子もいるが、思い浮かばず悩む子のために「考えるヒント」提示した。まず「似ているものを探せ」次に「特徴的な言葉、動きを探せ」となる。相似、類似から発想するパターンである。さらに逆の「似てない」「しそうもない」から発想する方法もあることを伝える。対照的、逆転性の面白さである。


 グルーブでワイワイ言いながら、なんとか仕上げることができた。一人一つではなく数人分作らせ、それをもとに演じさせ撮影する。衣装も凝ったり、編集効果も入れたりして、楽しく放映できた思い出がある。妄想をネタに出来たのは、やはりいい絵本があったからだ。「ヨシタケシンスケは偉い!」と新刊本を読む。