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10年前の夏に書いていたこと

2019年07月30日 | 教育ノート
 昨日、思いつくままにブログアップした後に、ずいぶん前からそんなことを考えていたはずと、集約した冊子を開いてみた。
 学校報に載せた文章が目に入った。
 ちょうど10年前だった。
 結構な長文だった。お時間があったらおつきあいのほどを…。


 「子どもの時間を守る」・・2009.7.21・・・・

 ある教育関係企業が、小学生から高校生までの生活に関する諸調査を継続して行っています。
 昨年末の調査で、小学生(5,6年)の半分の子が「忙しい」「疲れやすい」と回答しているという結果が出たと報道されました。当然ながら中学、高校と進むにつれてその割合は高くなっています。小学生だけに限定しても、その数値は年々高くなっていることは想像できます。
 調査担当の専門家は「子どもの“大人化”が進んできた。大人に合わせるのではなく、生活リズムを守って子どもの時間をもっとつくってほしい」とコメントしたそうです。
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 「子どもの時間」という表現は、多くのことを考えさせられます。以前はことさらにそんなことを言わなくても、子どもは子ども、大人は大人という厳然とした境目があったように思います。それは時間もそうですし、場所や服装、食べ物に到るまで違いがはっきりしていました。個々の家庭によって細かい差があったとはいえ、大方が納得できる範囲で決まっていたと思います。
 ところが物質的に豊かさが増し、子どもも大人と同じ感覚で「消費」することが多くなっています。そうした傾向は、子どもの成長にとってはたしてプラスに働いているでしょうか。そうではない気がします。
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 子どもが発達、成長していくためには、その時その時に応じて必要なことがあります。それはけして大人と似たような生活をして身につくことではありません。身体を動かす、いろんな話をする、自分で考える、あれこれ試してみる等々、時にはぼやっとすることも大切な時間と言えるでしょう。
 つまり「子どもの時間」とは、子どもが人間として生きていくうえで大事なことを身につける時間という意味なのです。今それは「守る」「つくる」ことを意識しないと先細っていく心配があります。
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 具体的には大きく次の二つが大切と考えられます。       
 一つは「子どもの時刻を守る」つまり一日の生活の中で決められた時間に起きて、食べて、遊んで、寝る…ということをしっかり続けさせることです。大人の都合にあまり左右されずに、成長期にふさわしい一定のリズムある生活ができるようにすることです。
 もう一つは「子どもの自由な時間を守る」つまり、子どもだけで何かをしている時間、子ども同士の自由な遊び、一人での読書やもの作り、考え事などを保障してやることです(ゲームやテレビは消費社会に縛られているようで自由とは呼べない気がします)。

                    
 夏休みが始まります。言うまでもなく時間はたくさんあります。
 このひと月ほどの期間の一人一人の「子どもの時間」がどんなふうであればいいのか、ご家庭によって考え方もあることでしょう。
 しかし、計画した生活の時刻はしっかり守ること、子どもだけの時間を保障すること、この二つはどうか少し心に留めておいていただければと思います。実際のところ、それらは以前よりずっと難しくなってきているわけで、安全面一つとっても大人の側の工夫や配慮が欠かせなくなってきています。
 それでも「駄目なことは駄目ときっぱり言う」「任せられることは思い切って任せる」という、ごく普通のことを徹底することが、子どもたちが夏休みを充実した時間にするための大きな枠であることには違いありません。
 目に見えない時間の中で、静かに力が蓄えられていくはずです。
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