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食べびとの宿命か

2019年10月04日 | 雑記帳
 今となっては手が届かないが、渋谷の駅前に東急がセルリアンタワーを建てた時、JRでかなり格安にパック旅行を企画したことがあった。調べてみたら2001年だ。いわゆる高級ホテルなので、それなりの価格だったけれども、たぶん一番給料も高かった時期(笑)なので、奮発して夏休みに出かけた記憶がある。


 「食べびと」としての絶頂期だったので、ねらいの一つはそのホテルにあるレストランだった。中華の鉄人陳建一がプロデュースした店に関心があった。著名な四川飯店よりは気軽に入れそうな気もした。一つ一つを詳しく覚えてはいないが、コースが「食感」によって組み立てられていることに、強い印象を持った。


 陳を招いた食宴を隣市のホテルが開催したので、少し値段は張るが出かけてみた。地元出身の若いシェフは今、そのセルリアン内レストランの料理長である。師弟共演的なショーと言ってもいい。ミーハー気分もあったが、やはり料理が楽しみだった。全八品もちろん残らずいただいた。でも正直あの頃より感動は薄い。



 18年経ち、そして我が家での中華の味は少し影響を受けているし、当然と言えば当然か。あの頃はレトルトとは言え、陳監修の麻婆豆腐の素も発売されていてかなりいい味を出していた。今回もメインの一つはそれであり、確かに本物の味ではあったが、飛び抜けた感は舌に訪れなかった。これが食べびとの宿命か(泣)。


 まあ、今回参加した人たちは食に興味が高いようなので、初対面でも結構盛り上がって会話も出来たし、良しとするか。味とは純然たる料理のみだけでなく、場そのものの雰囲気も大きいことを改めて知る。陳はTVで見る通りかなりフレンドリーでにこやかな人物だった。そう言えば、この鉄人とも同い年でした。