すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

後押ししてみたいこと

2019年10月25日 | 読書
 先日、身内で孫らの話題をしていると、小さい時の自分が意に添わないと「人に噛みついた」ということを亡き母が生前話していたと聞き、少し驚いた。その狂暴性(笑)は飼い馴らされ、順応したと言えるか。しかしいくつになっても注意欠如は治らない。多動性・衝動性は強くはないが、不安要素は結構あるようだ。


2019読了96
『発達障害は最強の武器である』(成毛眞 SB新書)


 著者は同齢なので少し関心を持っている。書名でなんとなく中味は想像できたし、実際予想に近かった。個性、多様性が重要であることは、今の世の中誰しもが口にする。けれど現実の社会生活や職業においては、まだまだその理解に沿ったことが実現しているかと言えば、道半ばだ。切り開くためには具体性が必要だ。


 長く教育する側にいて、どうしても身についてしまった考えをなかなか捨てきれない。ただ管理という面の呪縛が弱まると、ようやく見えてくることがある。それは一般的に喧伝されていることもあれば、依然として理解されていないこともある。この新書で記された内容で、自分に見えつつあるのは次の点と言える。


 「努力する能力より好きになる能力がはるかに大事だ」

 「とにかく直感的にパッと決めたら、迷わず行動に移してしまう。何事も『衝動性』を重要視する」


 計画性・継続性・協調性を大切にする社会で、こうした考え方が尊重されるためには、ふさわしい環境や諸条件が必要かもしれない。むろん単純に全体が舵を切ることなどできないし、それがふさわしい姿とも思えない。しかしそういう特性を持つ者がもっと認められていいし、抑え込む勢力の思想に注意を払いたい。


 この本で強調されるのは、発達障害を持つ人の適性に合った学習や仕事を見つけることである。そしてその一つにリーダー、トップランナー的な役割がある。それは「〇〇が欲しい、したい」と端的に言え、実行できる要素を持つからだ。今この国に足りないこと、元気のなさを想えば、積極的に後押ししてみたいことだ。