和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

文章のイロハ。

2010-05-06 | 短文紹介
渡部昇一氏の文に、ヒルティの「幸福論」からの引用がありました。

「まず何よりも肝心なのは、思いきってやり始めることである。仕事の机にすわって、心を仕事に向けるという決心が、結局一番むずかしいことなのだ。一度ペンをとって最初の一線を引くか、あるいは鍬を握って一打ちするかすれば、それでもう事柄はずっと容易になっているのである。ところが、ある人たちは、始めるのにいつも何か足りなくて、ただ準備ばかりして(そのうしろには彼等の怠惰が隠れているのだが)なかなか仕事にかからない。」


こんな箇所がありました。
思い浮かぶのは、パーキンソンの法則のはじまりの箇所。

「・・たとえば、一有閑老婦人は、遠方の姪に一枚の葉書を出すのに、たっぷり一日を費すことができる。葉書をさがすのにまず一時間、眼鏡をみつけるのにさらに一時間、宛名をさがすのに半時間、文句を書くのに一時間と十五分、そして次の通りの郵便函まで傘を持って行くべきかどうか思案に二十分といった具合である。忙しい男が全部を三分ですませる仕事も、この方法によれば、別の人間を、まる一日の疑惑や心配や骨折りでへとへとにすることができる。・・・」


手紙が出てくると、私は清水幾太郎著「私の文章作法」から手紙の箇所を引用したくなります。

「・・・或る意味では、手紙を書くというのは、文章の修業の上で最高の方法なのですから。現代文明に背を向けることになるかも知れませんが、文章のイロハを学びたいという方は、いろいろなチャンスを利用して、精々、手紙を書いた方がよいと思います。電話で用が足りる場合でも、手紙を書くべきでしょう。面倒だ、というのですか。いや、本当に面倒なもので、私にしても、毎月の原稿が一通り済んでから、まるまる一日を使って、何通かの手紙を書くことにしています。原稿料とは関係ありませんが、実際、手紙を書くのは一仕事です。しかし、それも面倒だ、というようでは、文章の修業など出来たものではありません。」

う~ん。ところで、私は、どこいらにいるか。
ただ、記念切手を集めるだけで終わっております(笑)。
コメント
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