和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

ひょっこり。

2010-05-05 | 詩歌
朝日の古新聞をもらってきて、めくっていました。
すると、井上ひさしさんへの追悼文があった。
さっそくそのページを切り取り、読んでみました。
2010年4月13日文化欄。演劇評論家の扇田昭彦氏が書いておりました。
そこにこんな箇所

「作家チェーホフの生涯を描いた井上氏の晩年の音楽劇『ロマンス』(2007年初演。集英社刊)に、主人公が語る印象的なせりふがある。人間は『あらかじめその内側に、苦しみをそなえて生まれ落ちる』。だが、笑いは違う。笑いは『ひとが自分の手で自分の外側でつくり出して』いかなければならない。『もともとないものをつくる』のだから『たいへん』なのだ、と。」

もうひとつ、私が注目したのは、その下の関係者の声という箇所でした。そこに、作家の阿刀田高さんの短い言葉が載っておりました。その全文。

「座右の銘『難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを愉快に、愉快なことをまじめに』を徹底し、その言葉通りに作品も深く、愉快でやさしく、笑っているけどまじめで、傑出した業績でした。」

そういえば、とまず思ったのは、堀口大学の詩「わが詩法」でした。たった2行。

     言葉は浅く
     意(こころ)は深く

もうひとつ、思い浮かべたのは、ほかならぬ井上ひさし氏自身の言葉でした。
それは、朝日新聞2001年1月31日の掲載されていた「朝日賞・大佛次郎賞 7人のスピーチ」にあった井上ひさし氏の言葉なのでした。そのスピーチのなかで井上氏は、エラ・ウィーラー・ウィルコックスの詩「孤独」を引用しておりました。それをここにあらためて引用してみます。

   この地球は涙の谷
   悩みごとや悲しいことでいっぱいだ
   そこで喜びはどこからか借りてこなくてはならぬ
   その借りかたは
   ・・・あまり有効な方法ではないが、
      しかしこの方法しかないので、あえていうが・・
   とにかく笑ってみること
   笑うことで喜びを借りてくることができる


 思い出すのは「ひょっこりひょうたん島」の主題歌でした。

     苦しいこともあるだろさ
     悲しいこともあるだろさ
     だけど僕らはくじけない
     泣くのはいやだ
     笑っちゃお
     すすめ
     ひょっこりひょうたん島


コメント
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