大橋鎮子著「『暮しの手帖』とわたし」を読み返しております。
1920年生まれのしずこさんは、
昭和12年(1937年)4月に日本興行銀行に入行しました。
そこで3年間勤めております。どのような上司のもとで
どのような仕事をしていたのか。再読しながら改めてその箇所が浮かび上がってきました。ではそこを以下に引用。
「 そのときの調査課長が工藤昭四郎(しょうしろう)さん、戦後に東京都民銀行を創立された方です。調査課の仕事は、日本や世界の産業や経済の動きを知るためのいろんな調査や、そのための資料や図書の購入と整理。そして調査月報の編集でした。
私の仕事は走り使いのようなことが主でしたが、長く続けていた仕事の一つに新聞の切り抜きがありました。朝八時ごろから、工藤さんは東京朝日新聞、東京日日新聞、読売新聞、中外商業新報(現日本経済新聞)、日刊工業新聞などを読み、そのなかの主なというか、興銀に勤めている人なら読んでおかなければならない記事に印をつけます。私は印のついた記事を切り抜き、紙に貼り、日付、新聞紙名を記入、それを毎日六人分(重役数)作りました。これは十時までに仕上げなければならない急ぐ仕事です。
こんなこともありました。調査月報の締切りまぢかに、上司が病気で休みました。満州、中国の経済要録を、その日のうちに出さなければならなかったのです。『大橋君、今日中にまとめなさい、そうでないと困る』との指示です。やらなければなりません。誰かに相談したくても、みんな忙しそうです。
そこで考えついたことは、新聞に出ている回数が多い記事が一番のニュースだから、多い順にすればいいと思って、満州と中国に関連する記事を全部切り抜きました。そして多い順に記事を貼り、まとめました。順序もちゃんとしており、わかりやすかったと好評で、このあと、私はみんなに少し認められたようでした。
この新聞の切り抜きを作ったことは、すばらしい経験になりました。『暮しの手帖』を花森さんと始めてからも、誌面の割り付けやトリミングなど、どんなに役立っているかわかりません。定規や物差しを使わなくても、写植の文字などを曲がらずにまっすぐ貼れるのは、こんな経験のおかげだと思います。『どんなことが、なぜ大事なのかしら』と、新聞記事を比べて読んだりしたのもよかったと思います。以来私はずっと活字に関係した仕事をしています。・・・・ 」(p64~65)
この調査課については、もうすこし続くのですが、また読み直したくなります(笑)。
1920年生まれのしずこさんは、
昭和12年(1937年)4月に日本興行銀行に入行しました。
そこで3年間勤めております。どのような上司のもとで
どのような仕事をしていたのか。再読しながら改めてその箇所が浮かび上がってきました。ではそこを以下に引用。
「 そのときの調査課長が工藤昭四郎(しょうしろう)さん、戦後に東京都民銀行を創立された方です。調査課の仕事は、日本や世界の産業や経済の動きを知るためのいろんな調査や、そのための資料や図書の購入と整理。そして調査月報の編集でした。
私の仕事は走り使いのようなことが主でしたが、長く続けていた仕事の一つに新聞の切り抜きがありました。朝八時ごろから、工藤さんは東京朝日新聞、東京日日新聞、読売新聞、中外商業新報(現日本経済新聞)、日刊工業新聞などを読み、そのなかの主なというか、興銀に勤めている人なら読んでおかなければならない記事に印をつけます。私は印のついた記事を切り抜き、紙に貼り、日付、新聞紙名を記入、それを毎日六人分(重役数)作りました。これは十時までに仕上げなければならない急ぐ仕事です。
こんなこともありました。調査月報の締切りまぢかに、上司が病気で休みました。満州、中国の経済要録を、その日のうちに出さなければならなかったのです。『大橋君、今日中にまとめなさい、そうでないと困る』との指示です。やらなければなりません。誰かに相談したくても、みんな忙しそうです。
そこで考えついたことは、新聞に出ている回数が多い記事が一番のニュースだから、多い順にすればいいと思って、満州と中国に関連する記事を全部切り抜きました。そして多い順に記事を貼り、まとめました。順序もちゃんとしており、わかりやすかったと好評で、このあと、私はみんなに少し認められたようでした。
この新聞の切り抜きを作ったことは、すばらしい経験になりました。『暮しの手帖』を花森さんと始めてからも、誌面の割り付けやトリミングなど、どんなに役立っているかわかりません。定規や物差しを使わなくても、写植の文字などを曲がらずにまっすぐ貼れるのは、こんな経験のおかげだと思います。『どんなことが、なぜ大事なのかしら』と、新聞記事を比べて読んだりしたのもよかったと思います。以来私はずっと活字に関係した仕事をしています。・・・・ 」(p64~65)
この調査課については、もうすこし続くのですが、また読み直したくなります(笑)。