和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

スタジオには。

2013-09-28 | 地震
本をひらいていると、ときどき、
気になるページがあります。

そういうのに限って忘れ(笑)、
思い出せないという始末。

そういう箇所を、
忘れる前に書き込んでおけば。
というのも、ブログの楽しみ。


さてっと、
文春文庫「吉村昭が伝えたかったこと」に
テレビ局の話が登場します。
吉村昭氏が「関東大震災」を書いた後でした。

「震災記念日の9月1日になると、それに関する
番組を組んだテレビ局から必ず出演依頼があった。
・・私はテレビ局へおもむいた。
スタジオには、東京都の地震防災責任者が、
有識者とともにいて、それぞれ発言し、
私も意見を述べた。
が、私は、ことに防災責任者の述べる言葉に
底知れぬむなしさをおぼえ、
口を開くのも億劫になった。それは、
震災後に出版された『震災予防調査会報告』という
報告書を全く眼にしていないことを知ったからである。
・・・・・・・・・・・ 
翌年と次の年の震災記念日にも、
私はテレビ局に足を向けたが、
防災責任者は別の人になっていて、
その人も報告書の存在すら知らず、
それをいっこうに気にかけている様子もなかった。
それっきり私は、テレビに出ることをやめ、
新聞、雑誌に関東大震災について書くこともしなくなった。
・ ・・・・・
この度、阪神大震災が起り、私は・・・・」(p172~173)


うん。どうやら、
この防災責任者や有識者とは、
コメントをする先生の側であって、
「お弟子」になるという発想はないらしい。

先生の背中にしのびよる「底知れぬむなしさ」を
感じとれるお弟子になれるかどうか?
そんなことを、今度は自分に問いかけてみる(笑)。

そうそう。
この吉村昭氏の小文の題は
「歴史はくり返す」。

コメント
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