和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

くびれ。

2014-07-15 | 前書・後書。
平川祐弘著「ダンテ『神曲』講義」を
とりあえず、終りまで読んだので、
つぎに注文したのが

平川祐弘訳ボッカッチョ「デカメロン」
(河出書房新社)でした。
それが今日届く。

古書ワルツ(東京都青梅市成木)
5780円+送料300円=6080円

まあ、読む読まないは別として(笑)。
解説平川祐弘氏のはじまりを引用。

「・・『デカメロン』(1351年)は、
古代から近代にいたる西半球世界の文学史の
流れを砂時計にたとえると、その中央の
『くびれ』にあたる。時間軸に沿って、
上はギリシャやローマ、ユダヤやイスラエルなど
さまざまの源泉から流れ出たいろいろな話が、
この『十日物語』とも『百物語』とも呼ばれる
この一大物語集に流れ込み、そこを通って
再び方々に散らばって、下はヨーロッパ各地の
創作の沃土に流れ込んで、第二次、第三次の
花を咲かせたからである。・・・・

内外に起源する物語がイタリア語でも広く
読み得るようになった十四世紀の『デカメロン』は、
インド・中国・日本に起源する物語を集め、
それが日本語でも広く読み得るようになった
十二世紀の『今昔物語』に時代的には近く、
形式的にも似ている。しかし宗教説話が中心を
占める『今昔物語』と違って、『デカメロン』は
ことごとく世俗物語である。その点が性格を
異にする。・・・・そうした内実を考慮すると、
ルネサンス初期における『デカメロン』の出現は、
明治維新の開国後の日本において諸国の物語が
鴎外などの手で訳されて多くの人に広く
生き生きと読まれ得るようになった知的世界の
拡大や人間復興の様にむしろ似ている。
私がダンテ『神曲』と並べてボッカッチョ
『デカメロン』のこの新訳を、ルネサンスを
告げる近代西洋古典として読者に提示したく
思う所以である。」(p708~709)


そういえば、今昔物語集もまだ読まずにある、
まさか、ここで今昔物語とのつながりを聞けるとは。
この夏、どちらか読めればしめたもの(笑)。
コメント
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