和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

読者の読む力が。

2014-07-30 | 地域
小高賢の2冊。

「老いの歌」(岩波新書)
「編集とはどのような仕事なのか」(トランスビュー)
2冊目をひらくと、
こんな箇所。

「書店だけでなく読者の読む力が弱くなっている。」

というのは、「編集から見た販売・流通・宣伝」にある言葉。
文脈とは別にしても、
「読者の読む力が弱くなっている」というのは、
一読印象深いなあ。つづく文はというと

「『良書でござい』とあぐらをかいていてすむ時代ではない。どうにかしてともかく買ってもらう。そうすればその中の何割かは読むだろう。そのためには読者に本の存在を知ってもらわなければならない。読書空間、読書環境が激変しているからよけい、編集者のフットワークが要求されるのである。」(p175)


うん。どうにかして買いましょう。
ってな気になります(笑)。

「老いの歌」をひらくと、
気になったのが、参考文献にある
読者歌壇(日本農業新聞)。
機会があれば、覗いてみたい。

本文に引用されている短歌が
鮮やかに感じられる。

起き抜けにひと仕事して飯うまし
 今そのことを『朝活(あさかつ)』だって
  ( 毛涯潤 )

腰曲げて朝の畑より帰りくる
 吾を待ちおり宵待草は
  ( 青木栄子 )

八十三歳告げども鍬を振る
 弾む想ひは人には告げず
  ( 川本恵美子 )

こうして14首引用したあとの
小高賢氏の文には、こうあります。

「播種から収穫まで、作物を育てることの
楽しさ。それが労働意欲を高めるのではないか。」(p65)

「もうひとつ付け加えれば、自由度の高い労働現場だということも挙げられるだろう。つまり自分のスタイルで働けることだ。・・現代社会が高齢者を包含できないのは、一定の枠を設け、そのなかで、効率を重視し、スピードを競わせるからである。必然的に、適合できない老いは排除されてしまう。・・・そのとき農業がもっている自由度の高い働き方は、老いの時間を豊かにするのではないか。」(p65~66)
コメント
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