和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

知的不誠実。

2014-07-24 | 短文紹介
今日の産経新聞。その「正論」欄は、
平川祐弘氏が書いておられました。

思わず笑ってしまう文なので、
これだけを読まれた方は、誤解なさるかも
しれないと思い、ここに補注をしておきたく
なりました(笑)。
ちなみに、
平川祐弘氏の本は、注がまた読ませます。
たとえば、河出ブックスの
平川祐弘著「日本語は生きのびるか」の
註に、加藤周一氏が登場しております。
そこを引用したくなったのでした。

「加藤周一は日本国内では抜群に評価の
高い国際的知識人である。加藤はスターで
あった。それだけにブリティッシュ・
コロンビア大学で、私に十数年先立って
教えた加藤の英語力について批判を聞かされた
時はわが耳を疑った。加藤も勤め始めは
なにかと不如意だったのだろうと漠然と
考えていた。しかし今回、大島真木氏の
ご教示を受け、加藤がその地でどのような
学問的社交をしていたかを加藤の
『頭の回転をよくする読書術』(光文社)
の124頁以下で如実に知らされた。
カッパ・ブックスの一大ベストセラーに
なったというその書が青年子女に教える
読書術とは、だれかがこちらの読んだことの
ない本について話だしたときは、間髪をいれず
『あれはおもしろい』といって会話をつなげ、
という社交術なのである。
知的スノビズムの名においてそんな
『読まない読書術』をも奨励していることに、
私は不快を覚えた。加藤は『読んだふりは大切
なこと』として自分も・・・
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学で、
同僚とのパーティーの席でそのような交際を
したと書いている。しかし、そんな生き方で
もって、外国の学者と胸襟を開いた交際が
できようはずはない。プロテスタントの国で
は知的不誠実をかぎつけると手厳しい反応が
出ることがある。彼地の人は加藤の
マドンナ・コンプレクスにふれていた。
常にプリマ・ドンナでありたい、
と願った人という意味であろう。」
(p217)


さてっと、7月24日、
今日の産経の『正論』を読まれた方は、
平川祐弘と、この加藤周一との、
どちらが知的不誠実なのかと
思って読み比べるのも楽しめます(笑)。
コメント
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