和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

シニアに贈る、最後の詩集。

2015-07-06 | 書評欄拝見
読売新聞の読書欄(7月5日)。
松山巖氏の書評では、詩集が
取り上げられておりました。
詩の書評ならば、詩が一行でも
引用されていることを期待(笑)。

書評のはじまりは、

「5月3日に亡くなった詩人は、
没する直前の『長田弘全詩集』を、
そしてこの度『最後の詩集』を出した。
彼はまるで自分の死を予期していたか
のように二冊の詩集をまとめていた。」

書評の最後は

「そして『最後の詩集』は『One day』の
『人生がよい一日でありますように』という
詩句で締められる。この詩は今年の元旦に
決定稿としたようだ。
私は長田さんの賀状が〈よい日々を〉という
言葉だったと、今思い出している。」


うん。詩の最後の一行
『人生がよい一日でありますように』が、
これから何気なく、私の口をついて出そう。


松山巌氏の書評のその下に、
平松洋子氏が書評を載せておりました。
新潮新書の「小林カツ代と栗原はるみ」。
その書評の最後は

「読みながら励まされてくるのは、
著者の目がつねに地面から離れないからだ。
料理研究家を通じて、現代を生きる無数の
女性たちの息遣いが届き、私は連帯感を抱いた。」

気になる言葉ですが、
そういえば、長田弘には
詩集「食卓一期一会」があったなあ。

無料で送られてくる
「みすず書房の本棚」№⒖2015夏にも
「詩人がのこした贈り物」と題して
長田弘著「最後の詩集」を紹介しておりました。
その最後の箇所を引用。

「そして、『One Day』という短い詩。
『昔ずっと昔ずっとずっと昔
 朝早く一人静かに起きて
 本をひらく人がいた頃』
と始まり
『人生がよい一日でありますように』
と終わる詩で、
この『最後の詩集』は静かに閉じられる。
青い空のようにあくまで明るく、
なおかつ深い、75年をまるで
一日のように生きた詩人がのこしてくれた、
本の贈り物である。
《 詩集・日本文学・シニア本 ≫」

うん。最後にある本の分類に
《 シニア本 ≫とある(笑)。
すると、これは、
シニアに贈る、最後の詩集。


詩集は、読んでも、
思いだせなかったり。
詩の一行が、
忘れられなかったり。

ということで、
いつか、この詩集に
出会えることができますように(笑)。

そういえば、
田村隆一詩集「新年の手紙」に
「一篇の詩は
かろうじて一行にささえられている」
とはじまる詩がありました。
そして、
田村隆一詩集「言葉のない世界」の
一行といえば、
「そしてまた夢のなかへ『次の行』へ」。
その次の行へと、
長田弘氏は入って行ってしまわれた。
さあ夏。ぼくの『次の行』を探しに。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする