和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

同じ匂いがする仲間。

2015-07-13 | 書評欄拝見
7月12日(日曜日)の読書欄で
私が気になる書評。

読売新聞では
渡部一史(ノンフィクションライター)に
よる書評で
鵜飼秀徳著「寺院消滅」(日経BP社)
すこし引用。

「著者は京都の寺に生まれ、実家の副住職も
兼務するという異色の経済記者である。それだけに
『消滅しないために僧侶は何をすべきか』という
問題意識が全編を覆い、迫力あるルポルタージュ
となっている。・・・」

それで、書評のしめくくりはというと、
「優れた取材力と思索が脈打った好著である。」


産経新聞では、
神山典士(ノンフィクション作家)の書評で
黒柳徹子著「トットひとり」(新潮社)
そこから引用。


「今また傘寿を超えて、戦後の芸能史に刻まれるべき
『自分と同じ匂いがする仲間』の生き方と別れ方を
鮮やかに切り取った。」


具体的な例も、ありました。

「森繁88歳の時、『徹子の部屋』の収録中に
黒柳は声を張り上げた。
『森繁さん、ちゃんとやって頂かないと
困るんです。森繁久弥という俳優が、どんなに
魅力的で、ステキな方か、という事を知って
頂きたいのに(後略)』
すると森繁は突然居住まいを正して、
萩原朔太郎の詩を朗々と語り始める。
連れ合いを亡くした沢村貞子は、87歳で
『老いの道ずれ』という著書を出版した直後、
『徹子の部屋』でこう語った。
『人間て、一生懸命やると後悔しないものよ。
だって、出来るだけの事、やったもの。・・』
・・・・
黒柳徹子は・・こうつづる。
『今味わっているような寂寥感を身をもって
知っておいた方が、人生の様々なことを理解し
判断でき(中略)もっといい表現ができるのかも
しれない』
軽妙な文体ながら、別れを代償に・・
『ひとり』行ききることへの覚悟の書でもある。」


う~ん。「窓際のトットちゃん」から、
傘寿を超えての著作。私なら、
「トットひとり」より、語呂合せみたいに、
「トットとひとり」という題名が浮かぶ(笑)。




もう一冊気になったのが
「秋山祐徳太子の母」(新潮社)でした。
こちらは、
読売新聞「著者来店」欄と
産経新聞「聞きたい。」欄の
二つに同じ日に同時掲載、その記事を
読みくらべ。母について考えさせられました。
ちなみに、この千代おかあさんは
「平成9年、91歳の生涯を閉じた」とあります。

どれも、私は、買わないけれど、
書評を読めてよかった。
新刊本の谷間で、ちょいとした深呼吸。
そんな気分にひたれました。
これは、本を読まない贅沢(笑)。
コメント (2)
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