和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

本の山の中。

2015-07-29 | 道しるべ
山田俊雄・柳瀬尚紀対談「ことば談義
寝ても覚めても」(岩波書店)の
最初の方でした。

山田俊雄氏を柳瀬氏はこう紹介しております。

「先生の場合、お父様は国語学者(山田孝雄博士)
でいらっしゃるし・・」(p2)

山田】 ・・むしろ自分のいる場所が本の山の中ですから。
(笑)いや、古典を研究したり、まあ近代文学を研究する人も
そうだと思うんですけれど、自分のうちに書物の山が見えない
人たちは苦労するだろうなと同情しているんです。
一方で、ぼくらは、これはたまらんと思うほど本があるわけでしょ。
たとえば、『つれづれ草』ってどんな本ですか、と尋ねると親父が
なんか持ってきて、『これちょっと読んでごらん』と言う。
読んでも何だか分からない。すると『こっちにしろ』と
言われるけど、こっちも分からない。
そういう試しをされたことは、一、二遍しかないけど、
ものを聞くとすぐ本に行っちゃうわけです。
『ちょっと待ってろ』と。待っていると、
こんなに本を持ってきて、・・・・(p5)


この箇所が、印象に残ります(笑)。

話しはかわりますが、きれいな
「定本 種田山頭火句集」(彌生書房)
函入りが、300円ほどで買ってあった(笑)。

暑い夏は、句集がよく合う(笑)。
ということで、めくってみる。

そうだ、定本に出る「山の句」を
拾ってゆけば、スンナリと読み進められそう。
ということで、
山頭火句集の「山」の句に着目。
句集を開きながら、
「本の山の中です」というイメージを、
句集の「山」という言葉にダブらせて、
あちこちと、めくっておりました。
これが、今日の一冊。

そうすると、不思議と面白い。たとえば、
「分け入っても分け入っても青い山」を
「分け入っても分け入っても本の山の中」
という風に、私は読みかえて楽しみました(笑)。

こう前置きして、では、山頭火の句を引用。



 昼さめてどちらをみても山 (p236)
 昼寝さめてどちらを見ても山 (p55)


 山から白い花を机に (p68)
 山のしづけさは白い花 (p134)
 山はひそかな朝の雨ふる
       くちなしの花 (p261)

 分け入つても分け入つても青い山 (p8)

 また見ることもない山が遠ざかる (p12)

 すべつてころんで山がひつそり  (p14)

 物乞ふ家もなくなり山には雲   (p18)

 あるひは乞ふことをやめ山を観てゐる(p18)

 山のいちにち蟻もあるいてゐる  (p33)

 かすんでかさなつて山がふるさと (p35)

 ほととぎすあすはあの山こえて行かう (p36)

 焚くだけの枯木はひろへた山が晴れてゐる (p44)

 よい宿でどちらも山で前は酒屋で   (p55)

 山ふところの、ことしもここにりんだうの花 (p88)

 みんな出て征く山の青さのいよいよ青く (p103)

 播きをへるとよい雨になる山のいろ  (p108)

 人に逢はなくなりてより山のてふてふ (p118)

 日が山に、山から月が柿の実たわわ  (p126)

 しぐれて山をまた山を知らない山   (p144)

 育ててくれて野は山は若葉      (p206)


ハイ。このくらいで(笑)。
今日は、「種田山頭火句集」でした。

コメント
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