山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

美ヶ森の樹木散策  令和4年6月5日

2022年06月10日 | 樹木類
 今年の5月にエゾノコリンゴを観察に行った美ヶ森周辺であるが、その際にまだ葉が出ておらずしっかりと同定が出来ていなかったヤエガワカンバと思わしき木を確認したいと思い、再度美ヶ森を訪問してみる。既にエゾノコリンゴの花は終わっているはずで、それよりも花期が遅いズミが咲いている頃だと思う。


    まずは準備体操。美ヶ森駐車場の脇に生えていたこの木は樹皮が白くてシラカンバであろう。


    葉を確認する。形は三角形に近く、辺縁は鋸歯状だが波打つように大きな突出がある。


    白い花をたくさん咲かせた木があった。葉は桜の葉のように見える。


    これはミヤマザクラという桜の仲間。他の桜に比べて花期が遅い。


    幹は桜らしからぬ樹皮をしている。普通は横縞が入るらしい。


    見に来たのはこの大きな木。同じ木が他にもたくさん生えている。


    幹を見ると樹皮が剥げ落ちている。ヤエガワカンバで間違いないであろうが、乙女高原で見た大木とは少し感じが違う。幹の太さで変わるのかも知れない。


    樹林の中で見たヤエガワカンバ。幹や枝の樹皮が剥げている。


    幹の樹皮剥げ落ちておりヤエガワカンバで間違い無いようである。


    葉を観察する。スマートな長楕円形をしており、辺縁は鋸歯状である。シラカンバのような脈打つ感じは無い。

 ヤエガワカンバは樹皮が剥げ落ちるのが特徴だが、それだけでは確信が持てなかった。葉を確認してみると乙女高原で見たものと同じく辺縁が鋸歯状のスマートな楕円形をしており、ヤエガワカンバで間違い無いようである。山梨県では絶滅危惧種に入っている貴重な樹木であるが、美ヶ森の草原の中だけでなく、樹林の中にもたくさん生えていた。


    葉に光沢があり、これはガクアジサイであろう。


    咲き始めたばかりの白い花。たくさんある。


    花弁は5枚で円形、雄しべがたくさんある。葉はザラつく感じでやや硬め、細かい鋸歯がある。これはカマツカ(バラ科カマツカ属)であろう。


    近くに咲いていたこの花は雄しべが長くて賑やかな感じがする。葉の表面も違う。これはサワフタギ(ハイノキ科ハイノキ属)になるのか?もう少し検討が必要。


    満開のズミの木


    ズミの花


    切れ込みのある葉が付いていた。これが確認出来ればズミと分かる。良く似たエゾノコリンゴは切れ込んだ葉は付かない。


    こちらが1輪だけ咲き残っていたエゾノコリンゴ。


    ほとんどが既に実になっていた。葉の感じはズミよりやや大きくて厚め、鋸歯がやや赤みを帯びている。


    初めて見るシナノキ


    シナノキを見上げる。


    ボダイジュの仲間なので葉はハート形をしていると思っていたのだが、この木はそうではない。鋸歯も無く、本当にシナノキか?と思ってしまう。


    もうすぐ咲きそうな花。シナノキは普通は垂れ下がって咲くと思うのだが・・・?これはミズキか??


    湿地を訪れてみる。ミズバショウの葉がたくさん。


    湿地の近傍にはクリンソウが群生していた。


    サクラソウも咲いていた。


    ヤマドリゼンマイ


    オニゼンマイ


    満開のレンゲツツジ。富士山が見えないのが残念である。


    黄色いレンゲツツジもあった。

 以前は花散策といったら道の傍らや草むらの中など、下を向いて歩いていることが多かったが、樹木を見るようになってからは上を向いて歩くことが多くなった。少しは進歩したと思うのだが、まだ同定できる樹木はやっと5割を超えたくらいではないかと思う。なんとか7割のレベルまで上げるのが今年の課題である。

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残っていた川俣川東沢のヒラギシスゲ  令和4年6月5日

2022年06月10日 | 渓谷
 昨年何度か訪問してようやく発見した川俣川東沢のヒラギシスゲであるが、個体数が少なくおそらく発見した個体は上流から流れ着いてその場所に生着したものと考えている。どこかに群生している本体があるのではないかと探しているのだが見つかっていない。今回は昨年発見した場所に今年も生えてくれているのかを確認に出かけてみた。その他にもまだ見慣れていない樹木やイネ科、カヤツリグサ科の植物などが多数あり、いろいろと見て巡ってきた。


    フジの花が満開になっていた川俣川東沢渓谷


    これは良く見かけるイネ科の植物。


    茶色い葯が見える。これはスズメノテッポウ。良く似たセトガヤは葯が白い。


    これもイネ科の植物


    カニツリグサではないかと思うのだが全く自信無し。


    これもイネ科の植物。イネ科植物は田畑の畔や土手というイメージがあったが、渓谷沿いにも何種類もイネ科の植物が生えていることを知った。


    これはイチゴツナギか、その仲間であろう。いよいよイネ科は小穂を分解してみないと分からないかも知れない。


    見慣れてきたカヤツリグサ科はまだ分かり易いかも知れない。


    川俣川東沢で最も普通に見かけるスゲ、ナルコスゲ。水際を好んで生育し、しばしば群落を形成している。


    ナルコスゲの群落


    テキリスゲも普通に生えている。雄小穂が頂部に独立して着くが、良く似たアゼナルコは雌の下に雄が着く雌雄小穂であるところで区別出来る。


    大型のテキリスゲ。


    これはヒゴクサか、それともオニナルコスゲか?


    ヒゴクサにしてはやや大型に見える。


    雌小穂を良く見てみると鱗片は黄緑色をしている。オニナルコスゲは茶色いはずなので、これはヒゴクサであろう。


    昨年と同じ川の流れに穂が着くような場所にヒラギシスゲが生えていた。


    川の中州にも昨年と同じ場所にヒラギシスゲが生えていた。


    良く流されずに残っていたものである。


    先端部が雄小穂で黒っぽく、下が雌小穂。鱗片は幅が広くて黒茶色、果胞よりやや短い。


    良く似ているがこれは別のスゲのようである。


    果胞が細長くて雌鱗片も細くて長い。これはタニガワスゲと思われる。


    川岸の水たまり脇にヒロハコンロンソウが生えていた。


    コンロンソウに似ているが葉の幅が広くて切れ込みがある。


    成長して背が高くなっているが・・・


    コテングクワガタと思われる。


    川辺に生えるタネツケバナ。低地で見るものとは茎が緑色で少し違って見える。


    オシャグジデンダが生えていた。


    光沢の無いノキシノブの仲間、ミヤマノキシノブ。


    ヒメウツギが咲いていた。


    ミズキの花


    カマツカか、サワフタギか?葉の形をもう少し良く見て来るんだった。

 ヒラギシスゲは流されずに今年も生えてくれた。来年も生えてくるようならば、生着していると見て良いのではないかと思う。まだ分からない植物がたくさんある。

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