おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書78「杉浦日向子と笑いの様式」(田中優子・佐高信)七つ森書館

2010-01-23 22:54:42 | つぶやき
 「名は体を表す」「名実共に」という言葉は誰でも知っています。一方で「有名無実」なども。何だか名が体を表さないことも多いようです。時には、本の題名と内容とがちょっとミスマッチしている場合も・・・。
 装幀のおもしろさと表題に心をひかれて取り上げましたが、中身(内容)と全体のタイトルとが少しずれているような感じが・・・。
 難病と長い間闘い(不謹慎な言い方ですが、ある意味では業病を受け入れ、自然体でつきあい)さらに結婚・離婚と、人生を一気に駆け抜けた一人の女性の追悼談、と思いきや、漫画家としての才能、大江戸(人と暮らし、息づかい)をこよなく心酔した(もちろん、毀誉褒貶はありましたが)その心意気を故人と深く関わった二人が対談する趣向。そこに、編集的には、ちょっと無理があったかなと・・・。
 それでも、佐高信の「信念」「思い」(今の時代・政治などにおもねりはするまい)が貫かれてはいます。杉浦さんを酒の肴と言っては大変ご両人(+田中さん)(佐高さんは、ほとんど下戸)に失礼です。
 (つまらない個人的な話ですが、ずっと以前、職場の仕事が午前中で終わり、4人で昼飯を食べようということでそば屋さんに行き、まずちょっと酒をとなって次第に盛り上がり、昼はとっくに過ぎ、夕方になっても談論風発、もう外は真っ暗、店を出る気配もなく、お店の人もあきれかえる始末、それでもまた晩飯にソバを食し、結局閉店まで飲み続けたことがありました。約8時間。)気のあった者同士のおしゃべりと飲み会、団欒ほど人生楽しいものはないですが。 
 江戸を語りながら、亡き人を語り、俗世間を語りながら、無常世界を語り、・・・次第に夜が更けていく・・・。時に斜に構え、時に素直に耳を傾け・・・、そんな妙味がにじみ出てくるのがいちばん「満足、満足」。
 ファニーではなく、インタレストこそ、「笑い」の本質かも知れませんね。と、ここまで来ると、この本の題名も中身もやっと一致してくるような・・・。
 杉浦さん、「幽体離脱」して、江戸から東京にやってきて、そして現住所・江戸の町に帰って行ったという感想が、素直に感じられる本でした。
コメント
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