文春新書 グローバリズムが世界を滅ぼす エマニュエル・トッド ハジュン・チャン 中野剛志 藤井聡 柴山桂太 堀茂樹
(エマニュエル・トッド)「さて、自由貿易が生み出す根本の問題は、経済活動の実践の仕方である前に、一つのイデオロギーです。どういうことかというと、企業が、自分たちは国内市場のために生産するのではなく、外部市場のために生産するのだという考えに傾いていくのです。
こうした状況では、輸出貿易をめざす国の企業は、その当然の傾向として、また正当な傾向とさえいえると思いますが、だんだんと賃金を純粋なコストと見なすようになります。賃金は内需に貢献する要素であることをやめてしまいます。それは純粋なコストになり、すると企業は、賃金コストの削減の論理に入っていきます。」(p130)
このくだりで、私は、「君はコストだ!」という言葉(大野耐一の鬼十訓)を思い出した。
これは、典型的な集団思考/集団志向の一種であり、その行きつくところは、賃金削減、(国内)需要の減少、雇用不安、企業倒産、etc.という悪夢のスパイラルである。
そういえば、私が金融機関に勤めていたころ(四半世紀ほど前)、ある建設会社の社長がこんなことを言っていた。
「コスト削減のためには、やはり人件費と外注費を削るのが一番だ。うちのカイシャでは、香港の企業に図面を書いてもらって、それをネットで送信してもらう。このおかげで、社内に設計担当人員を抱えなくて済むし、社外の建築士事務所に費用を払わなくて済む。」
ちなみに、調べたところ、この会社は現在は存在しないようである。
(エマニュエル・トッド)「さて、自由貿易が生み出す根本の問題は、経済活動の実践の仕方である前に、一つのイデオロギーです。どういうことかというと、企業が、自分たちは国内市場のために生産するのではなく、外部市場のために生産するのだという考えに傾いていくのです。
こうした状況では、輸出貿易をめざす国の企業は、その当然の傾向として、また正当な傾向とさえいえると思いますが、だんだんと賃金を純粋なコストと見なすようになります。賃金は内需に貢献する要素であることをやめてしまいます。それは純粋なコストになり、すると企業は、賃金コストの削減の論理に入っていきます。」(p130)
このくだりで、私は、「君はコストだ!」という言葉(大野耐一の鬼十訓)を思い出した。
これは、典型的な集団思考/集団志向の一種であり、その行きつくところは、賃金削減、(国内)需要の減少、雇用不安、企業倒産、etc.という悪夢のスパイラルである。
そういえば、私が金融機関に勤めていたころ(四半世紀ほど前)、ある建設会社の社長がこんなことを言っていた。
「コスト削減のためには、やはり人件費と外注費を削るのが一番だ。うちのカイシャでは、香港の企業に図面を書いてもらって、それをネットで送信してもらう。このおかげで、社内に設計担当人員を抱えなくて済むし、社外の建築士事務所に費用を払わなくて済む。」
ちなみに、調べたところ、この会社は現在は存在しないようである。