Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

芸術家への失望

2022年07月07日 06時30分29秒 | Weblog
キエフ・バレエ支援チャリティーBALLET GALA in TOKYO
 「私が生まれた地、そして私にとって芸術の故郷ともいえるロシアが、両親や親族が 住まう都市キエフを爆撃し始めたのです。唯一の望みは、この想像を絶 する悪夢から目を覚ますことでした。 きっと何百万人ものロシア人が街頭で戦争へ抗議し、すぐにすべてが収まるだろうと期待していました 。しかし、大規模な抗議運動は一切ありませんでした。25年間一緒に踊ってきたロシアの友人や同僚た ちは(ごく僅かの例外を除いて)皆、沈黙を守っていたのです。それは、私の人生で最もつらい失望で した。彼らは何も気にかけていないようで、自分たちの“芸術”を実践することに精一杯だったのです。 それから、国連やNATOといった平和を守るはずの組織が、狂った独裁者が歴史を塗り替えソ連を復活させようとするのを止めてくれるのではないかという期待もありました。どうしてヨーロッパで戦争が 許されるのだろう、と。しかしそれも叶わず、ウクライナは自分より28倍も大きな怪物と戦うために、 一人取り残されたのです。暗黒の時代に逆戻りしたような気がしました。安定感、安全保障、国際法といったものが、ほんの少し触れただけで崩れ落ちる砂の城と化してしまったのです。」(アレクセイ・ラトマンスキー Alexei RATMANSKY)

 「自分たちの”芸術”を実践するだけで精一杯」な友人や同僚たちを見たラトマンスキーの失望は、察するに余りある。
 彼は、「狂った独裁者の暴走を誰も止められない」という悲劇を、見事に指摘している。
 これは他人事ではなく、「抗命義務」の問題が殆ど論じられることのないわが国も、同じ問題を抱えているはずである。
 似たような話で、私の就活時代、ある会社の採用担当者が、「君が●●銀行に入ったとして、大学の先輩でもある上司から、『イ・アイ・イ・インターナショナルに融資しろ』と命じられたら、君はもちろんそれに従うよな?」と言われ、回答に窮したことを思い出した。
 一般的な日本人は、命令に逆らって左遷されること(つまり帰属集団からの孤立)を、何よりも恐れていると思うのだ。
 
コメント
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