ランボー「永遠」 Rimbaud ≪ L’Éternité≫
「1872年、彼はヴェルレーヌと一緒にあちこち放浪していた。
そして、腹が減ったとか(「飢餓のコメディ」)、我慢しよう(「忍耐祭り」)といった気持ちを、歌うようにして詩にした。
「永遠」もそうした詩の一つ。
その後、『地獄の季節』(1873)の中で、「言葉の錬金術」によって生み出された詩として歌われることになる。」
「1872年5月という日付が記されている原稿の「永遠 L’éternité」では、『地獄の季節』に掲載された版と、少し違いがある。
・・・違いは、« la mer mêlée / Au soleil »と« la mer allée / Avec le soleil »。
・・・海と関係する動詞が、alléeからmêléeに変えられていることで、海と太陽がより強く一体化して表現されている。
ただし、allée は、中原中也等が訳しているような、「去(い)ってしまう」「去る」という意味ではなく、太陽と共に進むという意に介した方がいいだろう。」
対訳 ランボー詩集 フランス詩人選1 中地義和 編
(地獄の一季節(1873年)について)「1872年の版「太陽と/行ってしまった海」がはらんでいた、遠ざかりのダイナミズムはここにはない。」(p222)
「永遠」と題するランボーの詩には、1972年のものと、「地獄の一季節」の「言葉の錬金術」中にある1973年のものの、2つのヴァージョンがある。
この2つでは、« la mer allée / Avec le soleil »と« la mer mêlée / Au soleil »という所に違いがある。
この箇所の解釈は、非常に難しい問題をはらんでいる。
1872年版では、おそらく、太陽が海とともに「見えなくなる」というところに重点があるだろう。
中地先生も指摘するように、ここで「永遠」は、可視的/不可視的を行き来する「間欠的」(p222)なもの(ゆえに retrouvée 「また見つかった」)として把握されているようだ。
ところが、1873年版ではそのようなニュアンスがなく、海が太陽に「混じった」ところ、つまり、流動的なものが恒久的なものと渾然一体化しているところに「永遠」の相を見たという意味合いがありそうだ。
これを踏まえて、”回顧的な視点”から、1872年版の例の箇所を訳してみると、次のようになるかもしれない。
「それは、太陽と連れ立って行った海だ」
「1872年、彼はヴェルレーヌと一緒にあちこち放浪していた。
そして、腹が減ったとか(「飢餓のコメディ」)、我慢しよう(「忍耐祭り」)といった気持ちを、歌うようにして詩にした。
「永遠」もそうした詩の一つ。
その後、『地獄の季節』(1873)の中で、「言葉の錬金術」によって生み出された詩として歌われることになる。」
「1872年5月という日付が記されている原稿の「永遠 L’éternité」では、『地獄の季節』に掲載された版と、少し違いがある。
・・・違いは、« la mer mêlée / Au soleil »と« la mer allée / Avec le soleil »。
・・・海と関係する動詞が、alléeからmêléeに変えられていることで、海と太陽がより強く一体化して表現されている。
ただし、allée は、中原中也等が訳しているような、「去(い)ってしまう」「去る」という意味ではなく、太陽と共に進むという意に介した方がいいだろう。」
対訳 ランボー詩集 フランス詩人選1 中地義和 編
(地獄の一季節(1873年)について)「1872年の版「太陽と/行ってしまった海」がはらんでいた、遠ざかりのダイナミズムはここにはない。」(p222)
「永遠」と題するランボーの詩には、1972年のものと、「地獄の一季節」の「言葉の錬金術」中にある1973年のものの、2つのヴァージョンがある。
この2つでは、« la mer allée / Avec le soleil »と« la mer mêlée / Au soleil »という所に違いがある。
この箇所の解釈は、非常に難しい問題をはらんでいる。
1872年版では、おそらく、太陽が海とともに「見えなくなる」というところに重点があるだろう。
中地先生も指摘するように、ここで「永遠」は、可視的/不可視的を行き来する「間欠的」(p222)なもの(ゆえに retrouvée 「また見つかった」)として把握されているようだ。
ところが、1873年版ではそのようなニュアンスがなく、海が太陽に「混じった」ところ、つまり、流動的なものが恒久的なものと渾然一体化しているところに「永遠」の相を見たという意味合いがありそうだ。
これを踏まえて、”回顧的な視点”から、1872年版の例の箇所を訳してみると、次のようになるかもしれない。
「それは、太陽と連れ立って行った海だ」