「死」そのものではないが、「死に等しい人生」というものも、大きなトラウマと言ってよいだろう。
その例を示すのが、「野いちご」である。
この映画を、スタンリーキューブリック監督は「ベスト」と絶賛しており、アンドレイ・タルコフスキー監督も「オールタイム・ベスト」の一つに挙げているそうである。
私も、この映画は「東京物語」や「ざくろの色」などと並ぶ傑作だと思う。
(以下、ネタバレにご注意)
傑作であるためか、この映画について論じた記事は相当多い。
その例を示すのが、「野いちご」である。
この映画を、スタンリーキューブリック監督は「ベスト」と絶賛しており、アンドレイ・タルコフスキー監督も「オールタイム・ベスト」の一つに挙げているそうである。
私も、この映画は「東京物語」や「ざくろの色」などと並ぶ傑作だと思う。
(以下、ネタバレにご注意)
傑作であるためか、この映画について論じた記事は相当多い。
あらすじを手っ取り早く知りたい方には、「野いちご「この映画をキューブリックがベストに選ぶ理由がわかった」がお薦めである。
主人公は、医学の研究に生涯を捧げ、その長年の功績を認められ名誉学位を受けることになった老教授イサクである。
彼は最近眠りが浅く、睡眠薬を服用するものの、悪い夢をよく見る。
例えば、「針のない時計」や「棺桶に入った自分」(このあたりは「アンダルシアの犬」を彷彿とさせる)が夢に出てくるが、これは明らかに死の象徴であり、イサクに迫りくる死の予兆である(ちなみに「止まった時」は「夏の遊び」にも登場したが、ベルイマン流のサンボリスムだろうか?)。
だが、こうした悪夢は、近い将来の予兆というだけではなく、過去の「死に等しい経験」の反復のようでもある。
というのも、彼には、青年時代に負った大きなトラウマがあるからである。
それは、「婚約者を実の弟に奪われる」というもの。
親族や友人の死は一時的な出来事だが、弟夫婦とは一生顔を合わせる関係なので、このトラウマ体験は永続的な出来事といってよい。
実際、イサクの古傷に塩を塗り込めるようなシーンが、これでもかというくらい繰り返し登場する。
私見では、これを超えるトラウマはちょっと見当たらない。
主人公は、医学の研究に生涯を捧げ、その長年の功績を認められ名誉学位を受けることになった老教授イサクである。
彼は最近眠りが浅く、睡眠薬を服用するものの、悪い夢をよく見る。
例えば、「針のない時計」や「棺桶に入った自分」(このあたりは「アンダルシアの犬」を彷彿とさせる)が夢に出てくるが、これは明らかに死の象徴であり、イサクに迫りくる死の予兆である(ちなみに「止まった時」は「夏の遊び」にも登場したが、ベルイマン流のサンボリスムだろうか?)。
だが、こうした悪夢は、近い将来の予兆というだけではなく、過去の「死に等しい経験」の反復のようでもある。
というのも、彼には、青年時代に負った大きなトラウマがあるからである。
それは、「婚約者を実の弟に奪われる」というもの。
親族や友人の死は一時的な出来事だが、弟夫婦とは一生顔を合わせる関係なので、このトラウマ体験は永続的な出来事といってよい。
実際、イサクの古傷に塩を塗り込めるようなシーンが、これでもかというくらい繰り返し登場する。
私見では、これを超えるトラウマはちょっと見当たらない。