パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

洞察力に富む「ラインの黄金」

2008年07月23日 21時11分01秒 | Weblog
若い時はやたらと巨大なもの、難解なものに憧れたものだった

ヴァーグナー(ワーグナーと発音するとドイツ人には通じない)の
ニーベルンクの指輪、トリスタンとイゾルデ、パルジファル
バッハのマタイ受難曲
ブルックナー、マーラーの交響曲
そして「カラマーゾフの兄弟」や「死に至る病」
「ツァラツストラはこう語った」などを理解しようとしたのはその一例だが
それらが自分の理解の範囲内であったかどうかは大いに疑問で
先日不意に思い立って「ラインの黄金」のレコードを引っ張りだして
あらためて台詞をみながら聞いてみると
全く恥ずかしい話だがこんな話だとはすっかり忘れてしまっていた

このレコードはカラヤン指揮のベルリンフィルの演奏のやつで
もしかしたら最後まで通して聞いていなかったかもしれない

ちなみに「ヴァルキューレ」はショルティとヴィーンフィルのもの
「ジークフリート」はベームとバイロイト祝祭管弦楽団のもの
「神々の黄昏」はフルトヴェングラーとトリノ放送管弦楽団とバラバラで
全部を手に入れたのはそんなに昔のことではなく
といって最近聞いたと言うものでもなかった

この「ラインン黄金」
大人の隠れ家と言う雑誌の
クラシックの特集のオペラ部門に取り上げられていて
ローゲのキャラクターが注目に値すると出ていたのが
どこか頭に引っ掛かって何十年ぶりに聞いたのだが
なるほどと思うこと仕切りだった

つまりこの話、内容自体が神話の体裁をとっているものの
それは現代でも充分すぎる程通用する話に終始している様に思えた
だからこそモーニングを着たヴォータンや
キャバレーの女性としてのラインの乙女などの演出は
充分あり得る話の様に思えたし
様々な解釈はもっと可能な気さえしてきた

一般的にはヴァーグナーは音楽に比べ
物語作家としての能力に欠けるみたいな言われ方をしているが
どうしてどうして、なかなか洞察力に富んでいる様に思えた

だがシュトルム ウント ドランク最中の自分が
本場バイロイトに行って、
しかも100周年の年に
センセーショナルなシェロー演出、ブーレーズ指揮のリングの
チケットは手に入れたものの自分が聞きたい(見たい)リングは
ヴィーラント・ヴァーグナーの暗い、動きの少ない
全く抽象的なものだったので、
モーニング姿のヴォータンなんてとても許しがたかったから
チケットはトリスタンとイゾルデ、パルジファルに変えてもらった

結果的にその当時はそれでよかった
トリスタンは本当によかった
言葉はわからないが、だいたいの話はわかっていたので
想像力を働かせて音楽に集中して約5時間
滅多に味わえない経験をさせてもらった

だが今は、このリング
始めから最後まで通して聞いてみたい(見てみたい)気がする
といってDVDで見る気力は全然なくて
できるなら生で経験したいものだ

指輪物語(トールキン作)も
このニーベルンクの指輪の影響を受けているし
自分の体力、気力があるうちに(早めに)
通して見たいものだ
コメント
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