パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

映画「ノルウェーの森」

2011年01月06日 19時10分04秒 | 見てきた、聴いてきた(展示会・映画と音楽)

日本語で話されているけれど、これは外国の映画

これが映画「ノルウェーの森」を見た感想

フランス映画っぽい!

 

そこで思い出した映画が「愛人/ラマン」

原作はマルグリット・デュラスの自伝的小説

「愛人/ラマン」指同士で性的な交わりを連想させるシーンは

エロティックで「ノルウェーの森」でのこってりした描写は

まるでこれがお手本みたいな気がした

 

さて映画自体は、原作を読んだ事がある割には内容はさっぱり覚えていなくて

確か自殺した人がいて、それが後を引きずっていて、、、

位な事しか覚えていなかったので余計な先入観を持たずに見る事ができた

 

楽しめたか?

と言う問いには「yes」

と答えてもいいかもしれない

不満が無いとは言えない、しかしそれは映画にというより

原作への不満の方が大きいかも知れない

 

そう、映画自体はそれなりの世界を作っていた様に思う

心象風景のような映像、そして音

しかし、多分自分が村上春樹の熱心な読者でない所為だろうが

この生活感の無い登場人物たちには少し抵抗感があった

 

生活感の無い登場人物、それは1Q84でもそうだった

そして、その事によって村上春樹の世界が独自のもの

あるいは小説空間の効果を上げているのだろうけれど

この「熱気」の無さは、

「どこか違う!」と思わざるをえなかった

 

「愛人/ラマン」でも、雰囲気的には似ているフランス映画「突然炎のごとく」でも

同様に理不尽でもどこか熱があった

それは生きている証と言うか、生きているからこそ間違いも起きる

といったメッセージも(今なら)感じる事ができる

 

小説家という人々は自分を切り刻んでいる人種

全部が全部そうではないかもしれないが

そう言う人たちだと思っていた

技術論だけで済ませていけないような

なにか訳の分からないものに闘いを挑んでいる連中

そんな風に思っていた

 

村上春樹氏はそうでないとは言わない

だが、何故だろう

何かが違う!そんな思いが消え去る事が無い

 

多分それは自分が古典的な小説世界に馴染み過ぎている所為もあるのだろう

「カラマーゾフの兄弟」「シッダールタ」「ウイルヘルムマイスターの修業時代」「雪」

そこには物語の中だけでなく、作家自身の闘いが反映されて

その苦悩自体に頭が下がった

 

村上春樹氏についてはこれくらいにして

映画に戻れば、懐かしかったのは学生運動の風景

大衆団交を要求するシーン

またスローガンを書きなぐった看板

 

それらはそんな時代だったと記憶を呼び覚ましたが

残念ながらここでも何故だが熱気が無い

べたべたと張ったステッカーも整然としすぎだし

看板の文字も綺麗すぎて、、、

もっとも汚く書いても汚く張っても、

あの当時の雰囲気は出ないかもしれない

あの雰囲気は時代だから出たものかもしれない

 

この映画「ノルウェーの森」の一般的な評価は自分は知らない

ただ自分の評価ならば

見ても損は無い、

いや見る価値はある

と言っていいかもしれない

 

しかし、見終わって数時間経って

あまり残っていない様に感じるのも事実だが

 

 

コメント
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